七十七 新生“暁”
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は、弾かれるように青年から離れた。
隣に戻ってきた自来也を、怖いもの知らずを見るような、それでいて青褪めた顔で大蛇丸が非難する。
「自来也、貴方…死にたくないなら大人しくしてなさい」
あのペインでさえ臆さずに相手をして、追っ手が来ていないか確認する余裕すら見せていた大蛇丸が、今は余裕をかなぐり捨てている。
その焦りと怯えように自来也は心底驚いた。
(こんな大蛇丸は初めて見た…それほどの相手なのか)
「神サマ…?」
不意に、震えるような困惑と期待に満ちた声音が、緊張感の張り詰めた空間の空気を揺るがした。
高まる警戒を緩められ、大蛇丸が非難の眼を自来也から移行させる。
だがその視線すら気づかない様子で、唇を戦慄かせて彼女の眼は青年に釘付けだった。
「神サマ、だよな…!?」
その視線を受けたナルトは困惑げな顔で、蒼い瞳を瞬かせる。朱色の髪の少女が歓喜の眼で此方を見上げていた。
(…誰だ?)
「オレ…!貴方に助けられて…!だからずっと捜していたんだ…!」
ジャングルの奥地。
そこで原因不明の病にかかってしまい、村人達に隔離され、この世の全てを恨み、憎んでいた。
そこにつけこまれ、神農に利用されていたアマルは、原因不明の病を治し、更にはその憎しみから解き放ってくれた救世主をずっと追い求めていた。
即ち、ナルトを。
だがナルト自身はアマルを憶えていない。
先日ようやくカブトから彼女の名を知らされたばかりだ。
改めてアマルを見る。
カブトから頂いた情報から照らし合わせて考えると、三代目火影との戦闘で負傷した腕を治してもらう為、大蛇丸が綱手との交渉を望んでいた際、既にその綱手と行動を共にしていたようだ。
一方で五代目火影に就任してもらう為、綱手を捜索していた波風ナルとも顔見知りだったようだが、結局、大蛇丸の甘言に乗ってカブトの下についたそうだ。
カブト曰く、アマルはその頃からナルトを捜しているような素振りを見せていたらしい。
つまり、アマルがナルトに助けられたという時期は、それ以前の出来事ということになる。
ならば、アマルと何処でナルトが出会ったかは、それなりに絞られる。
今一度、彼女の容姿を確認する。赤い髪によく映える紫紺のバンダナ。
そして印象的なのは、左目の下にある泣き黒子。
その黒子を何処かで見た気がした。記憶を辿る。
そうして思い出した。
「ああ…そういえば神農の…」
ナルトの一言に逸早く反応したのは、意外にも大蛇丸のほうだった。
何故なら、三代目火影との戦闘で負った両腕を治す医療スペシャリストのひとりとして名前が挙がっていた相手なのだから。
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