暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第175話:許して忘れる
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………透も、アイツの事、許して忘れたのかな?」
「多分ね」

 航の言葉を最後に、室内が沈黙に包まれる。透の事を少しでも知ろうとここまで来たのに、逆に彼の事が分からなくなってしまった。以前として彼とどう接すればいいのか分からなくなり、クリスは頭を抱えた。

「アタシ、どうすりゃいいんだ。透の事は好きなのに、あいつとどう接すればいいのか分からない。アタシは、どうすれば……」

 怒るべき相手に対して、全く怒らず許してすらしまえる透とはあまりにも価値観が違い過ぎる。そんな相手とこれからも仲良くできるのかが分からず、寂しさからクリスは思わず涙を流しそうになる。

 そんな彼女に対し、航から思いもよらぬ言葉が飛び出した。

「そう言えば……透の奴、一度だけ尋常じゃなく怒った事があったな」
「えっ!? 透が?」

 信じられない話だ。自分の喉を切り裂き、声と夢を奪った相手でさえ許してしまった彼が、一体何故怒ったのか?
 目を見開くクリスに、航が口にしたのは驚くべき内容であった。

「クリスちゃんは覚えていないか。子供の頃、近所の悪ガキが君を泣かせた時の事を」

 クリスは全く覚えていなかったが、子供の頃近所の悪ガキ共が彼女の事をイジメた事があったらしい。持っていたぬいぐるみを取り上げられ、泣きながらそれを奪い返そうとするクリスを子供達は笑って馬鹿にしながらぬいぐるみをお互いにパスし合い、右往左往するクリスの姿を見て楽しんだ。

 それを見た透は、今からは想像もできない程の怒りの形相で虐めす子供達に飛び掛かり、相手の子供達をボコボコにしてしまったのだとか。
 透によりボコボコにされた子供の内、1人は歯が折れたりとして大変な怪我を負ったのだとか。当然相手の親はやり過ぎだと抗議してきた。が、そもそも最初にクリスを虐めていたのはそちらの子供の方だと言う事で、必要以上に大事になることなくその場は何とか収まった。

 そこまで聞いて漸くクリスは思い出した。

「そうか、あの時……!」

 当時、透はクリスを虐めていた子供達をボコボコにした後、取られていたぬいぐるみを奪い返しクリスに返そうとした。が、クリスは思わずその場から逃げ出してしまったのだ。自分を虐めていた相手とは言え、子供達が透1人に殴られ倒れていくその光景に、恐怖を感じていたのだ。

「思えばあれからだったな。透の奴が異常に優しくなったのは。多分その時の事があって、透は澪の教えに共感して誰も怒らず誰も恨まないようにしていたんだろう」

 つまり、透が今の様に異常に優しくなったその原因にはクリスも大きく関わっていたと言う事になる。彼女を恐れさせてしまった自分を嫌悪し、彼女に怖がられない人間になろうと心を入れ替えた結果が今の彼を形作ったのだ。

 原因が自分
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