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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第175話:許して忘れる
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というか、航も内心でその生きていた男に対しては並々ならぬ怒りを抱いていた。勝手な理由で大事な我が子の声を奪い、夢を潰えさせたその男が生きていた事を残念にすら思う。出来る事なら今からでも飛んでいって、その男の顔面を原型が無くなるまで殴り潰してやりたい気持だった。
それと同時に航は透に対し頭痛を覚えずにはいられなかった。我が子とは言え、まさかここまでとは思ってもみなかったのだ。
「それにしても透も仕方のない奴だ。そんな奴を助けるどころか、クリスちゃんに手を上げるなど」
「あの時、アタシは透の言葉を聞きもしなかった。ただ、あいつが憎くて仕方なかった。あのまま透がアタシを止めてくれなかったら、アタシは引き返せない所まで行ってたかもしれない。だから、落ち着いた今は透の行動も分かる。でも……」
透がクリスを止めようとしたのは分かるのだが、しかしそもそも透がその男に対して何の怒りも向けない理由がクリスには分からなかった。自分の夢を奪い去った相手なのに、何の怒りも向けないでいられる理由が分からず不気味さすら感じていた。それがクリスに、透から距離を取らせている最大の要因であった。
今まで透の事が分からず距離を取っていたが、何時までもこのままではいられない。少しでも歩み寄る為には、透の事をもっとよく知らなければならない。そして今、彼の事を良く知っているのは、彼の父である航ただ1人。クリスは自分の求める答えを彼が持っていないかと期待してここまで来たのだ。
「おじさん。透は何で、アイツを守れて、怒らずにいられるんだ? 正直、アタシには理解できないよ」
クリスからの問い掛けに、航は少し考える素振りを見せた。腕を組んで小さく唸り、そして何を思ったのか顔を上げると近くの棚の上に置かれていた写真立てを持って戻って来た。
航が持ってきた写真に写っているのは3人。今よりも若さが残った航と子供の頃の透、そしてそんな2人と共に笑みを浮かべている1人の女性だった。
その女性にクリスは見覚えがある。
「おじさん、これって……」
「まだ、透が小さかった頃に妻と一緒に撮った写真だ」
「透のお母さん……澪おばさん」
透の母であり、航の妻でもある澪。彼女は既にこの世に居ない。元々体が弱かった彼女は、透が小さい頃に病気でこの世を去っている。
航は写真の中の妻の姿に、昔を懐かしみながら口を開いた。
「澪は、とても優しい女性でね。正確は透と本当にそっくりだった」
そこはクリスも共感できた。小さかった頃の記憶だが、澪はとても優しくクリスにも良くしてくれていた記憶がある。
だが澪の優しさはクリスが記憶している以上だった。
「実は澪はね、実家で酷い虐めを受けていたらしいんだよ」
「えっ!?」
航
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