第百二十一話 毎日見たいのでその七
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「このことはな、けれど飲んでな」
「忘れることもですか」
「失恋の時はいいんだよ」
「そうなんですね」
「だからな」
それでというのだ。
「いいよな」
「はい、若しですね」
「失恋したらな」
その時はというのだ。
「忘れることなよ」
「泣いて吐き出して飲んで」
「そうしたことをしてな」
そしてというのだ。
「忘れて吹っ切るんだ」
「そうしたらいいですか」
「失恋は心の傷になってな」
「トラウマにもですか」
「なるんだよ、トラウマはな」
これはというと。
「一度出来たら厄介なんだよ」
「よく言われますね」
「ああ、身体の傷も厄介だけれどな」
「心の傷、トラウマはですね」
「本当にな」
実際にというのだ。
「残って化膿して余計に酷くなるからな」
「持たないことですね」
「出来るだけな、トラウマが多い人ってな」
自分が見て来た人の話をした、マスターはこれまでの人生で見て来たそうした人のことを思い出しつつ咲に話した。
「歪んでたりするんだよ」
「トラウマが心で化膿して」
「多ければ多いだけな」
それだけというのだ。
「そうなってな」
「心自体が歪むんですね」
「ああ、そうなったりもするからな」
だからだというのだ。
「出来るだけな」
「トラウマは持たないことですか」
「生きていれば持ったりもするさ」
マスターは眉を曇らせて話した。
「時としてな」
「それでもですね」
「出来るだけな」
「持たないに越したことはないですね」
「それは失恋も同じなんだよ」
「大事なのは失恋してもですね」
「トラウマにならないことでな」
それが大事でというのだ。
「本当にな」
「泣いて吐き出して」
「飲んだりもしてな」
そうしてというのだ。
「それでな」
「忘れることですね」
「ああ」
こう言うのだった。
「本当にな」
「そうすることですか」
「そうだよ、俺に話してもいいさ」
「その時は」
「他のことでも何かあったらな」
その場合はというのだ。
「俺のところにもな」
「お邪魔していいですか」
「コーヒーか紅茶一杯で聞くさ」
この注文でというのだ。
「それも学生割引でな」
「そうですか」
「ああ、お金なくてもその場合はツケでな」
「このお店それは」
「本来はしてないんだよ」
あくまでというのだ。
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