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イベリス
第百二十一話 毎日見たいのでその二

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「その人って」
「それでその人がなのね」
「咲っち気になってて」
「告白しようとか思ってるの」
「そうなの」
「出来たらいいわね」
 心からの言葉だった。
「本当にね」
「まあそれはね」
「こうした時誰だって思うわよね」
「好きな人が出来たら」
「その時はね」
 クラスメイト達もそれはと応えた。
「私中学の時そうした人いたし」
「私も」
「私小六の時よ」
「私なんて小五よ」
「皆そうした経験あるの。リアルで好きな人が出来るなんて」
 咲は今度は顔を赤くさせて言った。
「はじめてだからね」
「初恋ね」
「要するにね」
「咲っち今初恋の中にあるのね」
「そうなのね」
「そうなるのね、いやまさか私がね」
 戸惑いも見せつつ話した。
「誰かを。現実に好きになるなんて」
「思わなかったのね」
「そうだったのね」
「咲っちとしては」
「そうだったの」
「ずっと漫画にゲームにラノベにアニメにで」
 二次元の世界ばかりでというのだ。
「そうしたね」
「リアルの人を好きになるなんて」
「咲っちにはなくて」
「マジでリアルははじめてなのね」
「そうなのね」
「二次元で好きな人はこれまでもいたけれど」
 それでもというのだ。
「本当にね」
「はじめてで」
「戸惑いもあるのね」
「何かわかるわ」
「この流れはね」
「ううん、何というかね」
 また言う咲だった。
「正直困ってるわ」
「そうでしょうね」
「何となくわかるわ」
「けれど二次元は二次元でね」
「リアルはリアルだしね」
「そうなるのね、じゃあリアルなら」
 それならとだ、咲は言った。
「どうすればいいか」
「難しいわよ」
「リアルのことはね」
「どうすればいいかってね」
「本当にね」
「かなり難しいわよ」
 クラスメイト達も返答に窮して口々に言った。
「変に告白してもね」
「それでどうにかなるものじゃないしね」
「いきなり断られるとか」
「もっと酷いことになるとかね」
「そうなることもあるしね」
「じゃあ告白しないこと?」
 咲は彼女達の話を聞いて言った。
「それが一番?」
「どうかしらね」
「それは難しいわよ」
「今言っている通りにね」
「告白して振られてね」
「受け入れてもらえればいいけれど」
 それでもというのだ、クラスメイト達は自分達が知っている恋愛についての知識を咲に率直に話していった。
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