第三十九話 幼少その十五
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「嬉しいよ」
「本当にそうですね」
「他のお料理もありますので」
小鳥はそちらの話もした。
「どうか召し上がって下さい」
「そうさせてもらう」
神威もそれならと応えた。
「ここはな」
「そうしてね」
「何かね」
玳透も食べている、そのうえでの言葉だ。
「神威は幸せになれそうだね」
「小鳥と一緒だからか」
「そうだよ」
その通りというのだった。
「優しくてこれだけのお料理が作られる」
「そんな小鳥とか」
「一緒でいられるから」
「そうだな、若しだ」
神威は小鳥を見て玳透に応えた。
「小鳥がいなかったらな」
「それならだね」
「俺は今もな」
「どうなっていたかわからないね」
「あの時死ななくてよかった」
自分が天の龍に封真が地の龍になった時にというのだ。
「本当にな」
「そうだね、若し小鳥さんがいなかったら」
「俺は何も出来なくて迷い果ててだ」
そうなってというのだ。
「そしてだ」
「幸せにはだね」
「なれる筈がない」
こう言うのだった。
「絶対にな」
「僕もそう思うよ」
「俺は一人でいられると思っていた」
言葉は過去形だった、自然と出た言葉だったが神威は自身のそれを出してから当然だと受け入れたのだった。
「しかしな」
「それはだね」
「違っていた」
こう言うのだった。
「俺は一人ではだ」
「生きられないね」
「ああ」
その通りだというのだ。
「とてもな」
「誰だってそうだと思うよ」
玳透は優しい声で告げた。
「人はね」
「一人ではか」
「生きられないよ」
「そうしたものだな」
「どれだけ力があっても」
それでもといのだ。
「けれどね」
「所詮は人間だな」
「だからね」
そういった存在だからだというのだ。
「一人ではね」
「生きられないな」
「そうしたものだから」
それ故にというのだ。
「神威もだよ」
「一人では生きられないか」
「そうだよ」
「そうだな、今はな」
「わかるね」
「ああ」
まさにとだ、神威は頷いて答えた。
「いつも実感している」
「それじゃあだよ」
「皆でだな」
「生きていこう」
「そうだな、そして特にな」
小鳥を見た、ここで再び。
「小鳥とな」
「一緒にだね」
「生きていく、そうする」
「うん、私もいつも一緒にいるから」
小鳥も言って来た。
「皆でね」
「生きていくか」
「そうしようね」
「戦いが終わってもな」
「ずっとね」
こうした話をだ、天の龍達はした。それぞれの過去を知ると彼等もの絆は尚更固まることになった。お互いをさらに知って。
第三十九話 完
2023・8・
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