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第三十九話 幼少その十三

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「思うわ」
「そうですか」
「今はね、必然は一つで」
「運命は変わらない」
「そうだと思っていたわ」
「予定説ですね」
 征一狼はここまで聞いてこの言葉を出した。
「キリスト教で言う」
「カルヴァン派ね」
「火煉さんはカトリックですが」
「神父さんだからね」 
 カトリックの聖職者は神父でありプロテスタントの場合は牧師となる。この違いで宗派がわかるのだ。
「そうね」
「そうですね」
「だから予定説の考えはないけれど」
「そのお考えをですね」
「持っていたわ」 
 そうだったというのだ。
「これまでね」
「けれど運命って絶対じゃないですね」
 護刃は小鳥を見て話した。
「変わりますね」
「そうだな、そこに至るのは偶然でなくてだ」
 神威が応えた。
「そしてだ」
「何も決まってなくて」
「色々な運命があるな」
「そうですよね」
「だから小鳥は死ななかったしだ」
 神威もまた小鳥を見て話した。
「そして封真もだ」
「必ずですね」
「連れ戻す、その運命をだ」
「掴み取られますか」
「そうする」
 こう護刃に答えた。
「俺は」
「そうされますね」
「運命は変わる、変わるのかな」
 昴流は疑問の声であった。
「どうなのかな」
「俺はそう思うが」
「私もです」
「そう思いたいね、そして」
 遠い目になっての言葉だった。
「僕は終わらせたいね」
「そう思っているのか」
「うん、今はね」
「昴流さん、しかしだ」
 神威は昴流の言葉から不穏なものを感じて咎める様に言った。
「命は粗末にするな」
「生きろということだね」
「ここにいる全員が生き残ってだ」
 そうしてというのだ。
「勝つんだ」
「僕達は」
「そうしないと駄目だ」
 絶対にというのだった。
「俺はどうもな」
「どうも?」
「あんたが死にたい様に思える」
 昴流自身に言った。
「そうな」
「まさか」
「俺の気のせいならいいが」
「そうだよ」
「ならだ」
 それならというのだ。
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