第三十九話 幼少その十一
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「俺は喧嘩をしないしな」
「そうだよな」
「お前自分から喧嘩売らないよな」
「何があってもな」
「そうしないな」
「興味がないからな」
素っ気ない顔と声で返事だった。
「別にいい」
「そうか、あんな連中一人で壊滅させてもか」
「別にいいか」
「そうなんだな」
「ああ、本当にな」
こう言うのだった、そしてだった。
このことはいいとした、そんな中で。
家が火事になった、学校の帰り道でそれを見て急いで戻って中に入るとそこにいた母に言われたのだった。
「神威、東京に戻りなさい」
「東京に」
「そこに貴方の運命が待っているから」
だからだというのだ。
「行きなさい」
「母さんは」
「私はここで死ぬわ」
燃え盛る家の中で言うのだった。
「それが運命だから」
「運命・・・・・・」
「だからね」
それ故にというのだ。
「私のことはいいわ」
「そんな・・・・・・」
「運命に従うわ」
「今ならまだ」
「いえ、この火は私から出たから」
家の中で宙に浮かんで立っていた、そのうえで言うのだった。
「逃れられないから」
「だから」
「もうね」
それでというのだ。
「私はここで死ぬから」
「俺はこれから」
「東京に戻りなさい」
微笑んでさえいた、そしてだった。
母は炎の中に消えた、神威はこのことの処理が終わってから東京に戻った。ここまで仲間達に対して話した。
「そういうことだ」
「前にも聞いたけれど」
小鳥が応えた。
「神威ちゃんも色々あったのね」
「沖縄でもな」
「けれど不良だったの?」
「いや、そう言われるとな」
特に、とだ。神威は小鳥に答えた。
「別に自覚はない、タバコも吸わなかったし制服もな」
「そのままだったの」
「たまにさぼったが授業にも出ていた」
「たまにはよくないわ」
「だが喧嘩も売らなかったしいじめなんてな」
「しなかったのね」
「カツアゲも万引きもシンナーもな」
そうしたこともというのだ。
「一切だ」
「そうなのね」
「下種な真似はしなかったつもりだ」
「じゃあ神威ちゃんは神威ちゃんのままだったのね」
小鳥はここまで聞いて微笑んで述べた。
「沖縄でも」
「そう思うならそれでいい」
「そうなのね」
「俺も有り難い」
「それじゃあそう思うね」
「ああ、それでな」
小鳥に笑顔で応えた。
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