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体調は仕方ない
第二章

[8]前話
 平男に反感を持つ生徒達が彼の行為をこっそりと撮り警察に通報するだけでなくインターネットでも拡散した。
 結果は言うまでもなかった、平男は警察に捕まるだけでなくインターネット上で炎上し完全に破滅した。
「ざま見ろ」
「暴力教師なんていらないんだよ」
「住所氏名学校までばれたしな」
「懲戒免職にもなったし」
「あいつはこれで終わりだ」
「完全にな」
 生徒達は思わずガッツポーズをした、だが彼等のこの行為は知らずだ。
 野村は平男が懲戒免職そして逮捕されたのを見つつだ、新しく赴任した剣道部の顧問でもある教師がちゃんと生徒の体調を見て指導し暴力も振るわないことを見て言った。
「ああじゃないとですよ」
「駄目だね」
「はい、生徒も人間ですよ」
 学年主任に話した。
「ですから」
「その日によって体調が違うよ」
「これは仕方ないです」
 体調のことはというのだ。
「ですからそれによってです」
「指導も変えるね」
「もっと言えばその生徒それぞれで」
 一人一人というのだ。
「変えています」
「それがいいよ、やっぱりね」
「生徒はそれぞれ違う人間です」
「それを理解して指導しないとね」
「駄目です、根性とか全員同じとか」
 野村は真面目な顔で話した。
「そうした指導はです」
「間違っているね」
「そうしたことも考えて」 
 そうしてというのだ。
「やっていかないと、そして僕も」
「そうしていくね」
「これからも」
 こう言って自分の受け持ちの教科とクラスのことだけでなく部活もそうして指導していった、彼はそうした指導から生徒からもいい先生だと言われた。一人一人をちゃんと見て向かい合ってしっかり言ってくれる先生だと。
 だが平男は今もこう言われた。
「生徒を馬鹿にしてな」
「ゴミみたいに扱ってくれたな」
「駄目と思ったらすぐに見捨てて」
「とんでもない奴だったな」
 彼にはこう話された、生徒達はわかっていた。体調に関係なく無理強いする輩がどういった輩であるかを。


体調は仕方ない   完


                    2023・10・21
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