第二章
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「まさかね」
「奇遇ね、じゃああんたここにいたら今はいづらいわね」
姉はこのことを察して言った。
「外に出て来たら?どっかで遊んできたら?」
「家にいるなっていうんだね」
「私達私の部屋で飲んで食べてお喋りするし」
「それで僕は」
「いづらいでしょうから」
弟を気遣って言うのだった。
「行ってきたら?」
「じゃあカラオケでも行って来るよ」
彼の趣味である、一人でも行くのだ。
「そうして来るよ」
「それじゃあね、じゃあ真理っちあがって」
「え、ええ」
真理はようやく自分を取り戻して応えた。
「それじゃあね」
「これからね」
「色々お話しましょう」
「じゃあ行って来るよ」
弟はこう言って二人から離れてだった。
家を出てカラオケに行った、そして家に帰るともう真理は帰っていた、そして夕食前にかなり酔っている姉に尋ねた。
「僕のこと話した?」
「話すとお互い気まずいでしょ」
姉は酒で真っ赤になっている顔で応えた。
「だから最初にお互いにね」
「僕の話はなしにしたんだ」
「話さないこともよ」
これもというのだ。
「処世術よ」
「そうなんだ」
「覚えておきなさいね」
「そうするよ」
「じゃあ晩ご飯食べるけれど」
姉は酔った顔で言った。
「私はかなり飲んで食べたから」
「食べないんだ」
「お茶漬け位でいいから」
こう言うのだった。
「あっさりとね」
「終わらせるんだ」
「そうするわ、じゃあ行きましょう」
その夕食にとだ、こう言ってだった。
姉弟で両親と一緒に夕食を食べた、その間真理のことは何も話さなかった。翌日二人共仕事で英光も会社に出勤したが。
真理はいつも通りだった、真面目で厳しい上司だった。彼に仕事以外のことは何も言わず彼もそうした。
仕事が終わってもだった、そして彼は家に帰ると後で帰って来た姉に言った。
「お互い話さないことも大事だね」
「言葉に出したら戻らないのよ」
姉はクールに答えた。
「何もかもが変わったり終わったりするから」
「言わないことも大事だね」
「それも処世術よ」
「昨日言った通りだね」
「そういうことよ、いいわね」
「言わないこともしていくよ」
こう言った、そして共に一家の夕食を楽しんだ。この時は母が作った夕食が美味しいと言った。すると和気藹々となり彼は言うべきことは言うことだとも思った。そして言わないことは言わないことがいいということも再認識したのだった。
上司は姉の友人 完
2023・10・20
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