第3部
ジパング
オロチとの戦い
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さっき別の首が吐いた炎と同じ予備動作じゃ……。
「離れろ!!」
ユウリの叫びに、反射的に私とナギはその場から離れた。と同時にオロチの一番近くにいるユウリもまた、そこから離れようと走り出す。
だがその瞬間、オロチの口から先程の数倍の大きさの火炎が辺りに燃え広がった。振り向くと私のすぐ目の前に、紅蓮の炎が襲いかかる。
「きゃああああっっ!!」
竦み上がった私は無意識に体勢を低くした。けれど這うように襲いかかる炎の波に、私はいとも簡単に飲み込まれてしまった。
「ミオちん!!」
それほど遠くにいないはずなのに、シーラの声が随分と小さく聞こえる。その理由が炎の壁に阻まれていることに気づくが、それ以上に私は苦痛に苛まれた。
熱い!! 痛い!! 苦しい!!
喉が焼けるのを防ぐため、とっさに息を止める。それでも炎と熱風が全身にまとわりつき、あまりの息苦しさに頭が真っ白になる。肌は焼かれ、髪の焦げる音を聞きながら、私は声なき声を上げた。
「ミオちん、大丈夫!?」
今度はシーラの声がはっきりと聞こえる。どうやら彼女の声を阻んでいた炎はなくなったらしい。
「ホイミ!!」
私の返事を待たず、シーラは私に向かって回復呪文をかける。痛みは若干ひいたが、炎が当たった部分はあちこち焼けただれていた。
「ごめん、ミオちん……。今のあたしのレベルじゃ、これが限界……」
立て続けに呪文を唱えたからか、シーラの表情にも余裕はない。
「大丈夫! 痛みはないから! そうだ、ユウリとナギは……」
ふと前方に目をやり、私は言葉を失った。私は星降る腕輪の力で二人より先にオロチから離れることが出来たからこのくらいの火傷で済んだが、間近でオロチの炎を浴びた二人は地面にしゃがみこんだまま動かない。私とシーラは急いでユウリたちのもとへと向かおうとした。
「来るな!!」
私たちを振り向きもせず、一喝するユウリ。その声に、私たちは体をびくつかせ足を止める。
「バカザルにはベホイミをかけた。あとは俺一人でやる」
「待って、ユウリちゃんは……」
言いかけて、シーラは息を呑んだ。ユウリの身体は私とは比べ物にならないほど広範囲に渡って火傷を負っている。それはつまり、彼は回復呪文を自分にはかけていないと言うことだ。
回復呪文どころか応急処置もしていない酷い火傷だと言うのに、ユウリは構わずオロチに向かって走り出す。
「ダメだよユウリちゃん!! 一人で倒すなんて無茶だよ!!」
泣きながらシーラが止めるも、ユウリの耳には入らない。私はたまらず後を追いかけるが、
「ミオちん待って!! ただ闇雲に突っ込んじゃダメ!!」
「でも、早く追いかけないとこのままじゃユウリが……」
「一旦落ち着こう! ユウリちゃんも、冷静になればきっとわかってくれる。だからミオちん
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