第七百二十一話 蛇の天敵その二
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「そうした蝙蝠もいますか」
「そうだ、それでだ」
「こうした烏もいますか」
「そして烏は黒い」
大尉はこうも言った。
「これは定義だな」
「そう言っていいものですね」
「しかしだ」
「その定義もですか」
「連合ではだ」
この国ではというのだ。
「稀少ではあるが」
「それでもですか」
「覆す烏がいるのだ」
「黒くない烏もいますか」
「この烏だ」
指差したその先にだった。
白い烏がいた、見れば嘴まで白い。
「シロカラスという」
「まさに純白ですね」
「寒冷地に棲息している烏だ」
「あっ、雪や氷の中で暮らしているので」
それでとだ、上等兵も察した。見れば目だけが白い。烏が黒いという定義を今完全に否定していると言っていい姿である。
「それでなのですね」
「白いのだ」
「保護色ですね」
「そうした場所は白夜である時も多い」
「それならですね」
「尚更だ」
まさにというのだ。
「色もだ」
「黒ではなくですね」
「白でないとな」
さもないと、というのだ。
「非常にだ」
「目立ってしまい」
「何も出来なくなるからな」
「白い中で黒ですと」
それならというのだ。
「確かにです」
「非常に目立つな」
「そうですね」
「寒冷地の他の生きものと同じだ」
シロカラスはというのだ。
「ホッキョクギツネやホッキョクグマとな」
「どちらも白い毛を持っていますね」
「ホッキョクギツネは夏はブルーグレーだ」
この色でというのだ。
「冬はだ」
「真っ白になるのですね」
「そうしてだ」
「雪や氷の中で暮らしていますね」
「それは烏も同じでな」
星によっては棲息していてというのだ。
「そしてだ」
「白いのですね」
「これも進化だ」
生きもののそれだというのだ。
「そして環境へのだ」
「適応ですか」
「その自然のことの前にはだ」
大尉はさらに話した。
「烏が黒いという定義もな」
「覆されるのですね」
「そうなるのだ、むしろだ」
「むしろ?」
「その定義は地球やエウロパのものでな」
それでというのだ。
「定義も時代や場所によって変わり」
「絶対のものではないので」
「それでだ」
さらに話した。
「連合ではな」
「白い烏もいますか」
「もっと言えば他の家の烏もいる」
白い烏だけでなくというのだ。
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