第四十話 童話の中からその五
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「ほんまなのかってね」
「なったか」
「そうよ、羆もね」
「怖いで」
「そのことがわかったわ」
「それでや」
中里はアレンカールにさらに話した。
「ほんま鬼熊みたいな」
「とんでもない暴れ方したわね」
「挙句軍隊まで動員されて」
「退治されたのよね」
「そうなったんや」
多くの犠牲者を出したうえでだ。
「日本最悪の獣害や」
「それで今も言われてるのね」
「ネットで検索してもな」
そうしてもというのだ。
「出て来るで」
「それ位有名なのね」
「ああ、日本特に北海道やとな」
「誰でも知ってる様な」
「幽霊や妖怪並に怖い話としてな」
そうしたものとしてというのだ。
「有名や」
「そうなのね、日本で一番恐れられてるのは怨霊ね」
それだとだ、アレンカールは日本に来てから知ったことの一つを話した。この国では悪魔や邪神よりもこの存在の方が恐れられていることは事実である。
「何かとね」
「元々京都も怨霊を恐れて築かれたし」
綾乃が言ってきた。
「桓武帝が」
「弟さん、早良親王さんの怨霊を恐れて」
リーが言ってきた。
「そのうえで」
「それでやねん」
その為にであったのだ。
「あそこに遷都して」
「色々結界張ってやな」
「怨霊の祟りを防いでん」
「そうした街やな」
「そやで、他にも」
「怨霊の話はあるな」
「天神様にしても」
即ち菅原道真もというのだ。
「太宰府天満宮に祀られてるのも」
「あの人の怨霊を恐れてで」
「東京もやし」
この街もというのだ。
「怨霊をほんま恐れて」
「幾重にも結界を張ってるで」
「災害も祟りを原因としたら」
リーは自分達が起きた世界での東京の江戸からの歴史のことを思って言った、兎角この街は災害に悩まされてきた街であるのだ。
「それを防ぐ為にも」
「結界張ってるんやで」
「そうなるな」
「ほんま日本では怨霊が一番恐れてるで」
「そして北海道ではか」
「このお話が」
実際にあったことがというのだ。
「ほんまやで」
「恐れられてるな」
「昔から北海道では羆が一番強い獣で」
そうした立場でというのだ。
「アイヌの人達の間でも」
「恐れられてたな」
「自然の荒ぶるカムイとして」
カムイとはアイヌ民族の神のことである。
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