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神々の塔
第四十話 童話の中からその一

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                第四十話  童話の中から
 今度の階は日本の山の中そのものだった、木々が生い茂り周りが見えにくい。羅はその中でこんなことを言った。
「狐や狸が出そうやな」
「それに熊もな」
 施が応えた。
「出そうやな」
「そんなとこやな」
「実際獣で出て来るしな」
「狼もな」
「あと忍者も出たな」
「山伏もな」
「そうしたところ見るとな」
 施はさらに言った。
「ここは日本の山やな」
「そう言ってええな、そういえばや」
 羅は施に次に戦うことになる神霊の話をした。
「今度の神霊さん達は日本の童話の人等や」
「そうやな」
「一寸法師さんもおるな」
 この童話の主人公もというのだ。
「あの打ち出の小槌で大きくなる」
「鬼を倒した人やな」
「そや」
 まさにというのだ。
「あの人等がや」
「今度の相手やな」
「そや」
「それでこの階は日本の山やな」
 トウェインは周りを見回しつつ言った。
「日本の獣や忍者や山伏が出る」
「そやな、山姥も出そうな」
 メルヴィルが応えた。
「そんな場所やな」
「山姥な」
「日本の妖怪のな」
「山におって人を取って食うっていう」
「あの妖怪やな、そういえば」
 メルヴィルは山姥の話を聞いてこんなことも言った。
「鬼婆もおったな」
「日本にはな」
「ロシアのバーバ=ヤーガと同じ様な」
「ああした妖怪やな」
「やっぱり人取って食うしな」
「こうした場所におってな」
「ただあの鬼婆は」 
 メルヴィルはこの妖怪についてさらに話した。
「元々人間やったな」
「そやったな、安達ケ原のあれは」
「言い伝えやとな」
「あれな、元は普通のお婆さんやったんや」 
 中里が言ってきた。
「それが自分の娘さんを誤って殺して」
「それでやな」
「狂ってああなったんやな」
「人間から鬼婆になったな」
「そやったな」
「そや、それで和歌にも詠われてるわ」
 その当時平安初期にあるのだ。
「ほんまにおるんかってな」
「それで使ってた包丁とか鍋も残ってて」
「住んでた岩屋もあるな」
「像もあって」
「ほんまにおったかも知れんのやな」
「そうみたいや」
 羅と施、トウェインとメルヴィルの四人に話した。
「まあ可能性としてな」
「あるんやな」
「安達ケ原の鬼婆が実在した」
「その可能性はあるんやな」
「日本の平安時代の初期に」
「それで徳のあるお坊さんに調伏したって言われてるけどな」
 中里は首を傾げさせた、ここで。
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