第87話 蛇の使徒
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ってきてくれて良かったです。私は何もできませんでしたから……」
「私もです……」
「二人は俺達を信じて待ってくれていたんだろう?だから帰ってこれたんだ。そんな悲しそうな顔をしないで笑ってくれ、二人にはそれが似合うよ」
「リィンさん……」
「ふふっ、ありがとうございます」
落ち込むエマとクローゼさんに俺はフォローの声をかける。
エマには魔法、クローゼさんには回復という手段で助けてもらっているんだし二人が役立たずなわけがない。今回は敵がヤバすぎただけだ。
「おやおやリィン君、エマ君とクローゼ君のようなうら若き乙女にそんな言葉をかけてしまったら本気にさせてしまうよ」
「オリビエさん、俺は別にそんなつもりは……」
「いや俺からしてもクサいセリフに感じたぞ」
「ジンさんまで……」
大人二人にからかわれた俺は抗議の言葉を言おうと思ったが2階から慌てた様子で降りてきたティータを見て止めた。
「ティ―タ、どうしたの?危ないわよ」
「お、お姉ちゃん!コリン君降りてこなかった!?」
「えっコリン君?あたしは見てないけど……」
「コリン君がいなくなっちゃったの!」
「あんですって!?」
ティータの言葉にエステルだけでなく俺達も驚いてしまう。
「どういうことなの、ティータ!?」
「あのね、コリン君がお菓子を食べたいって言ったから私戸棚からお菓子を取ろうと少しだけ目を離しちゃったの。そして振り返ったらコリン君がいなくて……」
「1階には降りて来てないよね?」
エステルがティータに説明を求めて彼女は状況を話し出した。姉弟子の言う通り全員がいた1階にコリン君が下りてきた痕跡はない。
「何か音とかしなかったか?例えば窓が開く音とかは?」
「なにも聞こえなかったです、まるで消えちゃったみたいに……」
アガットさんの質問にティータは何も音はしなかったと話す。
「まさか結社!?」
「とにかく急いで探すぞ、目撃者がいるかもしれない」
「そ、そうね!みんなで探しましょう!」
エステルは結社の仕業じゃないかと言うがジンさんの言う通り今はコリン君を探した方が良いだろう。
俺達は町に出てコリン君を探したり聞き込みをしたが何一つ情報は得られずに結局夜になってしまうのだった……
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