暗躍.6「一番のマニア」
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回の事件“ラインハットの貴族がグランバニアの王族に襲いかかった”って見える。勿論それは紛れもなく正しい事なんだけど……」
「で、ですが……あの馬鹿は相手が王族だと知らなかったワケですし、結果として未遂で……しかもティミーがあの馬鹿を夜中の雪山に放り投げてるではないですか! 双方の痛み分けで終わらせられませんか?」
「先刻から言ってるだろ……これはサラボナ視点での考え方だ」
「サ、サラボナ視点!?」
分かってるんだ……現状が一番良いって事は……でもリュカさんの暗躍を知ってしまったから……
「サラボナからしてみれば、自国で勝手に婦女暴行……未遂を犯した貴族は許す訳にはいかない。まぁ被害者女性が平民であれば『今回は未遂だし金をやるから無かった事にしろ』って言えなくも無いだろうけど……ところがどっこい被害者は王族なんだよなぁ。あぁ残念ザンネン(笑)」
笑い事じゃぁ……(怒)
「本来であればサラボナもネル家……引いてはラインハット王家とは対立したくない。でも被害者側のグランバニア王家の不興を買いたくない。現状で両国と仲良しこよしであるのに、今回の事件でどちらかとは仲違いをしなきゃならなくなる。理不尽じゃないか! サラボナは直接何もしてないのに、大口の顧客を最低でも1件は失わなければならないんだ」
あれ、理不尽さを訴えてたのは俺なのに、何時の間にかリュカさんが言う様になった!?
「ネル家の横暴を金で目を瞑れば、グランバニアが黙っちゃいない。実際に僕はサラボナとの友好を断ち切る。でも、だからといってグランバニアとの仲を優先してネル子爵家を弾劾したらラインハット王家との繋がりが弱くなる。どっちに転んでも大損は免れない」
「で、ですが……何も知らない状況にする必要は無いのでは?」
「サラボナは今回の事件の事を知っているよ」
「え!? し、知っているんですか!?」
な、ならばどうして何も言ってこないんだ?
「今回の事件で僕が何もしなければサラボナはネル家の馬鹿を捕らえて口封じをしただろう」
「“口封じ”? つまり殺す……と?」
そ、そこまではしないのでは?
「先刻言った通り、ラインハットとグランバニアのどちらかと決別するのだから、中途半端な事は出来ないんだ。だとすると“蒸気船”だったり“魔道街灯”だったりと各種発明で利益を得られる分、グランバニアとの仲を優先する事は間違いないだろう。そうなると今回の事件で余計な事を言わせない為にも犯人である男の口を封じるのは常套手段。それを以てラインハットには今後は高額な取引を持ちかける事になる訳だ。当然だがラインハットはその条件を飲まざるを得ないのだが、他の貴族連中は拒絶するだろう。そしてそうなった原因であるネル子爵家に対して当
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