暗躍.6「一番のマニア」
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てないというか、リュカさんだけが得をしている風にしか見えないからですね……」
サッサと納得をしない俺にリュカフリークスの二人(ウルフ君とポピー)から鋭い視線が突き刺さる。
「じゃぁさ、お前の所属する陣営の立場だけで考えてみよう」
「俺の……?」
俺側の立場って……ラインハット王国か?
「今回の件……誰が如何見ても婦女暴行……まぁ未遂だが、そんな事件だよね」
「ええ、まぁ……」
「あの馬鹿も言ってたけど、相手がグランバニアの王族だと知らなかった……と、しても大事だよね」
「当然ですね」
「ネル家は爵位持ちの貴族とは言え、その爵位は上から4位……つまり“公爵”・“侯爵”・“伯爵”・“子爵”・“男爵”となっている。発言力や影響力はかなり低いと言わざるを得ない。そんな中、巻き起こしてしまったのが今回の事件だ。世間……特に国内貴族連中には知られたくは無いだろう。違うかい?」
「全く以てその通りです」
「うん。ラインハット王家もネル子爵家だけが頼りになる味方じゃ無いけども、我が儘を言っている貴族の中では王家に味方をしてくれているのは少数だ。だから子爵家であろうと優遇しているし、その思いにも応えてくれているのが子爵家だ。理由さえあれば爵位を上げる事だって考えているだろう……考えていたよね?」
「過去形では無く考えてます! 現に例のアルカパの町興しにも参加させて、成功の暁には大々的にネル家の事を持ち上げる予定ですから!」
本当はもっと色々な面で活躍の場を与えたいんだ。
「じゃぁ今回の件はソレすらもダメにしてしまうな(笑)」
「笑い事じゃ無いですよ!」
他国事だと思って!
「ほら。今の説明だけで、ネル子爵家にもラインハット王家にも大きな利益が舞い込んできてる」
「た、確かに……リュカさんが裏で暗躍せずに、事件が表沙汰になっていたら、ネル子爵家は最悪没落していたかも知れません。そうなれば我が王家の力も弱まりますし……」
「もっと多角的に考えよう。そう、今回の件では完全な被害国であるサラボナの事だ」
「サラボナ……彼の国は無関係なのでは?」
ワザワザ巻き込む必要は無いだろう。
「忘れてもらっては困る。今回の事件はサラボナで起こったんだよ。そこには国の統治責任が付いてくる」
「そ、それはそうですが……あまりにも理不尽では? だってサラボナはあの馬鹿の入国もアルルさん等の入国も知らなかったのですから」
「“知らなかった”じゃ許されない。国家を統治するって事はそういう事なんだよ」
「で、ですが……今回の件でサラボナは如何様なペナルティーが科せられるのですか?」
何にしても理不尽だろう。
「考えてもみろ。サラボナから見たら今
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