第三百十八話 もう一人の覇者を見てその九
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「日本は昔からあったっすよ」
「織田信長さん若い頃お祭りで女装してたな」
「天女さんになったっす」
「ただ傾いていただけやなくてな」
「コスプレ趣味もあったっす」
「女装のな」
「大人になってからはわからないっすが」
尚馬揃えでは洋服を着てマントを羽織っている、こうした独特とも言える服装の趣味は終生だったということか。
「信長さんもっすし江戸時代もっす」
「男の娘あってな」
「歌舞伎はそればかりっす」
女形のことも話した。
「玉三郎さんなんか最高っすよ」
「あの人はもう究極やな」
メルヴィルも認めるしかなかった。
「絶世の美女や」
「舞台姿はそうっすね」
「ほんまにな」
「そして平安時代もっす」
この頃もというのだ。
「とりかえばや物語があるっす」
「あの古典な」
「倭建命さんも女装してるっす」
「古事記日本書紀まで遡るか」
「日本は男の娘も凄いっす」
「それで自分はやな」
「谷崎潤一郎さんの秘密で目覚めてっす」
目をキラキラとさせて言うのだった、この作品も女装する話である。
「以来男の娘も好きになったっす」
「自分確かマッチョが好きやろ」
「それに加えてっすよ」
「男の娘も好きになったか」
「そうっす、ただ趣味でも善悪は決まらないっすね」
「殺人とか詐欺とか虐待でもないとな」
こうした碌でもないものならというのだ。
「別にな」
「そうっすね」
「百人いれば百人の正義がある」
こう言ったのはフォークナーだった。
「そういうことですね」
「そやな、そやからな」
「それで、ですね」
「ここはな」
絶対にというのだ。
「トウェイン達とはどないするか」
「じっくり考えますね」
「まあお互いアメリカの統一考えてるし」
だからだとだ、メルヴィルはフォークナーに話した。
「戦になるとはな」
「思われてますね」
「ああ、アメリカの覇権を賭けた」
そうしたというのだ。
「戦をな」
「行うことになりますか」
「そやろな」
メルヴィルはフォークナーに考える顔になって話した。
「やっぱりな」
「そうですか、ほな」
「ああ、その時は自分等もな」
是非にというのだ。
「戦ってもらうで」
「はい」
誰もがだ、メルヴィルの今の言葉に頷いた。そして彼等を代表する形でボームがメルヴィルに言った。
「ほなです」
「その時はな」
「全力で戦わせて頂きます」
「勿論わしもな」
「戦われますね」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
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