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第三十九話 幼少その六

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「だからな」
「いいですか」
「そうなんだね」
「ああ、嵐の話もな」
 彼女にも言うのだった。
「そうしたことがあったか」
「ええ」
 神威にその通りだと無表情で答えた。
「私にもね」
「ほなわいもやな」
「勿論だ」
 自分から言った空汰にも応えた。
「お前のことがさらにわかった」
「そうなんやな」
「いい話だった」
「それやとええけどな」
「私もそう思いました」
 護刃も笑顔で応えた。
「本当に」
「そうね。では次は私ね」 
 火煉は護刃の言葉に頷きつつ言った。
「お話をさせてもらうわね」
「宜しく頼む」
「それではね」
 神威に頷いて応えてだった。
 火煉は自分のことを話した、それは彼女がまだほんの子供の頃のことだった。
 ぬいぐるみを抱いたまま無数の小さな火球を出して操って遊んでいた、その頃覚えたばかりの自分だけの遊びだった。
 自分の部屋でそれで遊んでいたが。
「あ、悪魔・・・・・・」
「えっ!?」 
 自分に遺伝を受け継がせている容姿の母がだった。
 遊んでいる娘を見て驚愕していた、見れば扉が開いていた。
「悪魔がここにいるのね・・・・・・」
「私悪魔じゃないよ」
「悪魔よ!」
 こう言ってだ、母は。
 娘をひっぱたいた、それからだった。
 火煉はひたすら虐待を受けた、父は既に死んでおり誰も母を止めず。
 やがて母は気が狂い自ら命を絶った、教会でその葬儀が行われてだった。
 一人残った彼女は棺の前に立っていた、そして言うのだった。
「私が悪魔だから」
「それは違うよ」
 教会の神父が優しい声で言ってきた。
「君は悪魔じゃないよ」
「だって・・・・・・」
 自分から火を出した、ぬいぐるみを抱いたままそうしてまた言った。
「私こんなこと出来るから」
「それは大きな目的の為の力だよ」
「大きな?」
「私にはそれが何かまだわからないけれど」 
 それでもというのだ。
「きっとね」
「悪魔の力じゃないの」
「君は悪魔ではないからね」
「けれどお母さんは私を」
「それは違うよ」
 神父はまたこの言葉を出した。
「悪魔はそんな悲しい顔をしていないからね」
「悲しい?」
「今の君はとても悲しい顔をしているよ」 
 火煉をありのままに見ての言葉だった。
「だからね」
「それでなの」
「うん、それで君はお家は」
「売られたって。それでお母さんもいないから」
「誰もいないんだね」
「そうなの」
「ならうちに来なさい」
 教会にとだ、神父は言った。
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