第三十九話 幼少その四
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後ろに着物を着た妙齢の女が来てだ、彼女に言ってきた。
「鬼咒嵐さんですね」
「誰?」
「お迎えに参りました」
この言葉と共にだった。
嵐は伊勢神宮に迎えられた、この時から彼女の暮らしは一変した。
何もない、食べものも家もないそれから一切不自由のない暮らしに入った。その中で彼女は教育を受け育っていき。
社の者達に言われた。
「貴女様はこの社の巫女であられ」
「本物のですね」
「はい、伊勢に密かにいる」
宮司の一人が話した。
「真のです」
「巫女ですね」
「この社のこれ以上ないまでに神聖な」
「その儀礼を司る」
「そうした方であられ」
そしてというのだ。
「そのうえで、です」
「天の龍ですね」
「はい」
その通りという返事だった。
「この世界を護られる方のお一人でもあられます」
「そうなのですね」
「ですから今は心身の修行に励まれ」
「社での務めを果たし」
「そしてこの世界もです」
さらにというのだ。
「お救い下さい」
「その為に今私はここにいますね」
「はい」
宮司は幼いながらも凛として着物に身を包んでいる嵐に話した。
「左様です」
「そうですね」
「務めをお果たし下さい」
「わかりました。しかし気になることは」
実際にとだ、嵐は宮司に尋ねた。
「私の父と母ですが」
「実はもうです」
「そうですか」
「事故で」
「だから私は一人だったのですね」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「今は違いますので」
「だからですね」
「ご安心下さい」
こう言うのだった、伊勢の者達は嵐をとても大事にした。そして東京に発つ時も優しい笑顔で見送った。
征一狼は玳透と修行をしていた、二人共白い着物と袴姿だ、彼はその修行が終わったところで玳透に言った。
「お疲れ様でした」
「今日の修行はこれで終わりですね」
「はい、今日もまた腕を上げられましたね」
「いえ、まだまだです」
玳透は征一狼に謙遜して応えた。
「僕は」
「そう思われますか」
「はい、ですから」
そう思うからだというのだ。
「明日もです」
「修行に励まれますか」
「そうします」
こう言うのだった。
「僕は」
「そう思われることが大事ですよ、僕も就職してからは」
「出版社にですね」
「毎日修行をする様にしていますが」
それでもというのだ。
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