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第三十九話 幼少その三
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「だからな」
「その時はですか」
「任せよ、しかしあれで空汰は心根が奇麗であるからな」
「悪戯もです」
「性質は悪くないな」
「はい、意地も悪くなくつまみ食いが目立ちますが」
 それでもというのだ。
「僧正の言われる通りにです」
「性質は悪くないな」
「はい」
 僧正の言う通りだというのだ。
「左様です」
「そうであるな、だからわしも滅多にな」
「空汰を叱りませぬな」
「まだ子供じゃ、多少のことはな」
「大目に見ることですか」
「そうしてくれるか」
「僧正が言われるのなら」
 それならとだ、僧侶も頷いてだった。
 その場を後にした、僧正は彼と別れた後も一人でそこにいたが暫くして空汰が後ろを振り向きつつ駆けてきてだった。
 僧正にだ、悪戯っぽく笑って言ってきた。
「爺ちゃん、ちょっと匿ってくれるか?」
「やれやれ、またつまみ喰いか」
「いやあ、饅頭貰ってん」
「断わりなくじゃな」
「まあそうなるか、それでな」
 懐から饅頭を一つ出して僧正に手渡して話した。
「これ匿ってくれるお礼にな」
「やれやれ。部屋の中に入っておれ」
「ほなな、爺ちゃん怒るとめっちゃ怖いけど」
 空汰は僧正に笑って話した。
「普段はめっちゃ優しいしわいにも色々教えてくれるし」
「わしが好きや」
「めっちゃ好きやで」
「そうか。実は先程まで星を見ておったが」 
 僧正は空汰から受け取った饅頭を右手に話した。
「そなた天の龍になった時にな」
「ああ、どうなるんや?」
「大切な女の人が出来てな」
 そうなってというのだ。
「その人を護ってじゃ」
「死ぬか」
「そう出た」
「爺ちゃんの星見は外れんしな、ほなわいはそこで死ぬんやな」
「いや、わしが見るのは運命の流れの一つじゃ」
 僧正は死を何でもなく純粋なまでに拒まず受け入れた空汰に話した。
「だからな」
「それでかいな」
「死ぬとは限らぬ、運命は幾らでも変わるしな」
 それにというのだ。
「幾つもある」
「そうなんやな」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「お前の運命もな」
「ひょっとしたらかいな」
「変わるかも知れぬ」
「爺ちゃんの星見は外れんでもか」
「これまでのこと。これからはな」
「そうなんか。まあ死んでもそんな死に方やとええわ」 
 空汰は明るく笑って応えた。
「わいはわいでや」
「天の龍として戦うか」
「そうするわ」
「そうか、ではその時が来ればな」
「東京行って来るわ」
 こう言ってだった。
 空汰は僧正の傍にある部屋の中に隠れた、後で寺の僧達が空汰を探して僧正に彼が何処に行ったか聞いてきたが僧正ははぐらかして彼は難を逃れた。彼の少年時代の一幕だ。
 嵐は餓えていた、両親はなく三重のある街で孤独
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