第三十九話 幼少その一
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第三十九話 幼少
天の龍の一行は議事堂の中に密かにある茶室に入った、そしてそこで玳透が煎れた茶と和菓子を楽しみながらそれぞれの話をはじめた。
空汰は仲間達に話した。
「おとんとおかんはまだ生きてるそうや」
「そうなのか」
「大阪の方にな」
神威に笑って話した。
「そやけど運命がな」
「天の龍のそれがか」
「あるさかいな」
だからだというのだ。
「わいが物心つく頃にな」
「高野山に入ったか」
「その時に別れたけど」
それでもというのだった。
「その時おとんもおかんも泣いてたわ」
「自分達の子供と離れるからだな」
「そや、それで高野山での話をな」
「今からだな」
「話すわ」
和菓子も食べて笑顔で言ってだった。
空汰は実際に話をはじめた、それは幼い頃の話だった。
「いいか空汰今度はだ」
「はい、滝に打たれて」
「修行だ、しかしだ」
仏門を教えている僧侶の一人が言った。
「もうあの様なことはするな」
「川のお魚獲って食うことはでっか」
「そうだ、いつも食べているな」
僧侶は難しい顔で言った。
「お前も」
「はい、朝昼晩」
「しっかりとな」
「頂いています」
「仏門では出されたものはだ」
食事はというのだ。
「それこそだ」
「何でも残さずですわ」
「実際にお前もそうして食べているな」
「毎食残りそうなもんは全部」
「それなら充分な筈だ」
毎食食べているからだというのだ。
「違うのか」
「いやあ、三食どころか五食欲しい位で」
空汰は僧侶に笑って答えた。
「わいとしては」
「だからか」
「はい、出来れば」
こう言うのだった。
「もっとです」
「食べたいか」
「それでお魚も」
「そこまで言うならおやつもあるな」
「十時と三時に」
「学校にも持って行っていい」
通っているそちらにもというのだ。
「だからだ」
「ああしたことはでんな」
「二度とするな、それに仏門にあるならだ」
僧侶はさらに言った。
「自分から進んで殺生をすることもだ」
「あっ、あきません」
「そうだ、だから二度とだ」
「ああしたことはでんな」
「するな、では今からだ」
「はい、滝に打たれます」
「共に打たれよう」
この僧侶は自分もと言ってだった。
実際に空汰と共に滝に打たれた、この時彼は空汰を見て思うところがあった。だがその夜彼は山の星見の僧正に言った。
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