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猫の暴力
第二章

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「噛まれて引っ掻かれるんだよ」
「私と一緒ね、実はここに来る時にケースに入れたけれど」
「その時にか」
「噛まれたのよ」
 ケースから出たばかりの彼を見つつ話した、今は何もなかったかの様にぺろぺろと毛づくろいをしている。タマオはその前に座って欠伸をしている。
「見事にね」
「僕は引っ掻かれたよ」
「その怪我ね」
「うん、聞いていた通りに」
 明星からというのだ。
「猫はね」
「狂暴でしょ」
「普通に暴力振るうね」
「そう、けれど何もかもがでしょ」
「可愛いね、だから僕アパートから」
 今住んでいるそこからというのだ。
「よくね」
「実家に戻って」
「猫と遊んでるよ、確かにそうした性格で」
 それでというのだ。
「暴力を振るうけれど」
「それで怪我もするけれど」
「いいよ、何もかもがね」
「それが猫よ、理屈抜きでね」
「いいね」
「存在自体がね、じゃあお互いにね」
 明星はリチャードににこりと笑って話した。
「これからもね」
「猫を可愛がっていこう」
「そうしましょう」
「ニャ〜〜〜」
「ウニャ〜〜〜」
 二人がそうした話をしている横でだった。
 それぞれの猫達はお互いなぞどうでもいいといった態度でクッションの上でくつろぎだした、二人はそんな彼等を見て話した。
「こうしたところもね」
「猫らしいな」
「気まぐれでね」
「我が道を往くだな」
 こう話すのだった、それぞれマイペースでくつろぐ彼等を見て笑顔で。


猫の暴力   完


                    2023・10・17
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