第二章
[8]前話
「だからね」
「普通のお家だから」
「あなたはサラリーマン私は在宅ワーカー」
自分達の仕事の話もした。
「だったらよ」
「ジープいらないんだ」
「パジェロもね」
両方共というのだ。
「運ぶのが多いならワゴン車で」
こちらの車でというのだ。
「そうでないなら軽四でしょ」
「今うち軽四だけれど」
「それでいいでしょ、安いし燃費がいいし」
それにというのだ。
「ものもね」
「結構運べるから」
「しかも壊れにくいのよ」
「頑丈さや恰好よさは」
「ラジコンどう？」
これが妻の提案だった。
「それで」
「シビアだね」
「シビアも何も現実よ」
「普通のお家なら軽四がベストなんだ」
「そうよ、じゃあ軽四の中からね」
夫にあらためて話した。
「選びましょう」
「それじゃあ」
妻の冷たい対応と現実に勝てないと思い知らされてだった。
夫は車のカタログを開いた、当然妻もそうした。
そして車を買いに店八条自動車夫が働いている会社の系列グループの直営店に行ってそのうえでだった。
その車を買いたいとスタッフの人に話した、だがそこで。
パジェロを見てだった、夫はやっぱりという顔で言った。
「恰好いいわね」
「軽四よ」
妻の返事は変わらなかった。
「いいわね」
「恰好いいのに。ロマンがあるよ」
「そのロマンは現実に勝てるの？」
「そういうことだね」
「そいよ、どうしてもというならラジコンにしたら？」
「そうするよ」
夫はこう言うしかなかった、そして実際にパジェロのラジコンを買った。そのうえで新しく買った自家用車の横で走らせたのだった。
ジープを買いたい夫 完
２０２３・１０・１７
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