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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第174話:理不尽の権化
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てもらえると言う事で、彼女は躊躇なく殴り掛かっていった。
「師匠ッ! 対打をお願いしますッ! はぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
「張り切るな、特訓バカッ!」
1人他の者とは違う意気込みを感じさせながら、響は弦十郎に何度も拳を叩き付ける。シンフォギアを纏った事で全体的な身体能力が向上された拳は、生身の相手からは目で追う事も困難な筈のそれを、弦十郎はあろうことか全て片手で受け止めていた。それだけでなく、1人考えなしに突撃する響を窘める余裕すら持っていた。
「はッ! たッ! てぇいッ!」
「猪突に任せるなッ!」
一心に拳を振るう響を前に、微動だにしない弦十郎。その姿から翼は彼の意図を推し量ろうとしていた。
「司令は手を合わせ、心を合わせる事で私達に何かを伝えようとしている……?」
翼が見ている前で、響の拳が対に弦十郎により掴まれた。彼はそのまま片手で響を振り回し、一足先に吹き飛ばされた4人と同じ場所に向け放り投げた。
「ほいよっとッ!」
「うわッ。うわぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
5人目の犠牲者を前に、翼は冷静な分析を止め刀を握り締め次は自分の番と飛び掛かった。
「だが、その前に……私の中の跳ね馬が躍り昂るッ!」
嬉々として弦十郎に斬りかかる翼。そこに躊躇は無く、口元には笑みすら浮かべていた。ここら辺、流石は親戚とは言え血縁者と言ったところだろうか。風鳴の血筋は血の気が多いのではと思わせるが、弦十郎の兄である八紘は血の気が多いようには見えなかったので絶対と言う訳では無いのだろう。
或いは、もしかしたら彼も何だかんだで血の気が多かったりする可能性もあるが……
そうこうしていると、翼の振るう刀が弦十郎により受け止められた。それもあろうことか、人差し指と中指のたった二本で、である。白羽鳥ですらない受け止め方を前に、翼の口から出たのは弦十郎に対する賛美だけであった。
「お見事……」
「はぁッ!」
「くッ!?」
受け止められた刀を引かれ、バランスを崩したところに弦十郎の至近距離からのタックルを喰らい吹き飛ばされる。
その瞬間、彼の意識は翼にのみむいていた。それを狙って、クリスが小型ミサイルの一斉発射をお見舞いした。幾ら彼が人間離れしていても、無数のミサイルを相手にはどうする事も出来ないだろう。
「ほたえな、おっさん!」
【MEGA DETH PARTY】
だがそれは甘い考えだった。何と彼は飛んできたミサイルを次々と受け止め、抱えるとそれをクリスに向け投げつけたのだ。当然まだロケットを噴いているミサイルは進む方向を変え、発射した本人であるクリスに向け飛んでいく。
「ほッ! はッ! とッ! はッ! とッ!……おぉぉぉぉりゃぁッ!」
「嘘だろッ!?」
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