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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第174話:理不尽の権化
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手にした愚者の石に笑みを浮かべた。
「そうですッ! これが賢者の石に抗う僕達の切り札、愚者の石ですッ!」
「「「おぉ〜……」」」
「すっかり、愚者の石で定着しちゃったね……」
「まぁまぁ。親しみやすいし、キャロルが言ってたみたいに悪い意味ばかりじゃないしさ」
集まった装者達がエルフナインの手の中で輝く愚者の石に感心する中、己から生み出された物質が愚者扱いされる事に響は肩を落とす。奏はそんな彼女を慰めていた。
その後、施設の撤収はスタッフに任せ装者と魔法使い達は全員本部へと戻り、泥や汗、海水を洗い流した。
その中でも石発見の功労者である切歌は、熱いシャワーで泥と汗が洗い流される感触に身を震わせていた。
「か〜ッ! 五臓六腑に染み渡るデースッ!」
「流石、石の発見者は言う事が違う」
探索中に切歌に泥を被らされた時の事を根に持っているのか、調は切歌の言葉にちょっぴりドライな反応を返した。
そんな中、響はエルフナインの姿だけが無い事に首を傾げた。
「そう言えば、エルフナインちゃんは?」
「エルフナインならさっさと上がったぞ」
「えっ! 早っ!」
同じく泥の中に突っ込んだキャロルはまだ丹念に泥を洗い流していると言うのに、彼女以上に泥だらけとなった筈のエルフナインがあっという間に出て行ってしまっていた事に響が思わず目を見開く。
そんなあっと言う間なエルフナインの動きを、一時気絶して戦闘不能になっていたクリスが汚れを落としながら茶化した。
「マッパでハマッハな烏の行水だ」
「泥に塗れた奇跡を、輝かせる為に……」
クリスの言葉に続きマリアが何気なく言葉を紡ぐ。その言葉は言い得て妙なのだが、言葉の中に交じるあるワードを耳にした奏はチラリとキャロルの事を見た。
すると案の定、キャロルはマリアが口にしたある単語を小さく反芻していた。
「奇跡……」
――ふむ……一応アルドに教えとくか――
徐々にだが、キャロルの中でも記憶が戻りつつあるのを感じさせる。まだ完全ではないし、何か引っ掛かりを覚えると言う程度の様だが、明らかな変化がキャロルの中で起きているのは間違いない。
それが危機を感じるべき事か、それとも喜ぶべき事かはまだ判断し難い。なので奏はこの場ではそれに深く触れる事はせず、自分の汚れを落とす事に専念した。
「対抗手段……対消滅バリア。愚者の石の特性で、賢者の石を無効化すれば……」
「この手に勝機は握られる」
翼とマリアは一足先にシャワーを切り上げ、髪の水気を拭き乾かしながら未来への希望を噛みしめる。しかしそれは、サンジェルマン達を力で打ち破る為の手段。飽く迄平和的解決を目指したい響は、ただ相手を打倒するだけの手段を手にする事に気が進
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