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神々の塔
第三十九話 象の神その九

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「そういうの送って」
「終わりよね」
「というか義理やとな」
 そうであるならとだ、芥川は言った。
「ええやろ」
「チロルでな」
「パラソルとか何やったらな」
 芥川はさらに言った。
「マーブルとか麦チョコ一粒」
「それでもええな」
「もうそういうのでな」
 それこそというのだ。
「ええやろ、いきなりや」
「いきなり?どないした」
「こっちの世界の話やが」
 芥川はこう前置きして中里に話した。
「手作りの特大ハート形貰ってそこに婿殿へって書かれてたらな」
「ああ、碧ちゃんからのチョコか」
 中里も聞いてわかった、他の面々もその話に頷いていた。
「そうか」
「そや、お返しはな」
 チョコのそれはというのだ。
「子宝でって言われるとな」
「ドン引きやな」
「碧ちゃんはそういう娘やからな」
「ほんましょびっちやな」
 未経験即ち処女であるがそうしたことへの関心は深く知識も豊富であるこれをスラングでビッチと呼ぶがこの二つが合わさった言葉である。
「あの娘は」
「もう僕以外には言わへんけどな」
「婿にならんかやな」
「夜這いしてきてもええとかな」
「言われるんやな」
「何でも自分がしたいらしいけどな」
 夜這いをというのだ、女性が行い場合逆夜這いと呼ぶ場合がある。
「それはな」
「まずは男からやな」
「そうするもんらしい」
「碧ちゃんの考えではか」
「それも祝言を挙げて」
 そうしてというのだ。
「それからって言うてるわ」
「あの娘そうしたところ五月蠅いな」
「何でも生涯旦那さん一人でな」
 夜の相手はというのだ。
「もう毎晩何度もで子供もよおさんっていうのがな」
「碧ちゃんの考えやな」
「それで僕にもな」
「そう言うんやな」
「何時の間にか完全にや」
 芥川は歩きつつ腕を組み難しい顔で述べた。
「僕のみになってるけどな」
「あの娘こっちの世界でも起きた世界でも誰でも婿にならんかが口癖やったしね」
 綾乃も言って来た。
「そやったからね」
「ああ、けれどな」
「最近芥川君一筋になってるね」
「それで大学卒業してな」
「就職したら」
「というか十八やし」
 芥川も彼女もというのだ。
「何時でもってな」
「結婚出来るって言うてるんやね」
「そして結婚したら」
 念願叶ってというのだ、彼女にとっては。
「それからはやね」
「祝言を金襴緞子で行って」
「白無垢で」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
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