第九十九話 寝られるだけでもその八
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「お金も使ったし」
「キャバクラで」
「もう何もね」
それこそというのだ。
「なくなったのよ」
「そうなんですね」
「周り全員から言われて怒られもして」
そうもなってというのだ。
「しょげかえってね」
「大人しくなったんですか」
「今は抜け殻みたいになってるわ」
「堪えたどころじゃないんですね」
「けれど揉めてる間はね」
「コーチもですね」
「大変だったのよ、それで言うのよ」
今こうしてというのだ。
「寝られるならね」
「幸せですね」
「それだけね、不眠症って辛いわよ」
理虹にこうも言った。
「どんどん心も身体も疲れていって」
「大変なんですね」
「何度も倒れそうになったし」
こうしたこともあったというのだ。コーチは自分のその頃のことを思い出しながら理虹に対して話すのだった。
「なるものじゃないわよ」
「ううん、そんなに大変なんですね」
「寝られないとね、睡眠薬をお酒で流し込むとか」
「それやばくないですか?」
「そうでもして無理にでもね」
こう言っていいまでというのだ。
「寝てたわ」
「そうですか」
「これ秋山監督もやっておられたそうだけれど」
「秋山監督って」
「ホークスのね」
「ああ、あの人ですか」
理虹もチームの名前を聞いてわかった。
「秋山幸二さんですね」
「現役時代バク転でホームインして二千本安打打った」
「守備も足も凄かった人ですね」
「あの人が監督をしていた頃はね」
「寝られなかったんですね」
「色々悩んだり叩かれたりしてね」
そうしたことがあってというのだ。
「大変みたいだから」
「プロ野球の監督も」
「総統にストレスが溜まって」
そうしてというのだ。
「それでね」
「まともに寝られないんですね」
「だから睡眠薬をね」
「お酒で流し込んで」
「何とか三時間寝る様な」
そうしたというのだ。
「凄いことになるのよ」
「プロ野球の監督も大変なんですね」
「そしてね」
それでというのだ。
「私もね」
「そうなったんですね」
「大学時代ね」
家の中の揉めごとでというのだ。
「不眠症がどんなものかもね」
「そうだったんですね」
「まあ巨人はね」
コーチは笑ってこうも言った。
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