第九十九話 寝られるだけでもその三
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「碌に寝ないで毎日仕事だ」
「休む日もなくて」
「仕事惨敗ね」
「そうした生活をしたいか」
娘達に問うた。
「総理大臣より生きにくいぞ」
「総理大臣よりも」
「それってかなりよね」
「さらにな」
そうだというのだ。
「そんな風だぞ」
「寝たいわ」
「そんな一生送るよりも」
「それでいいんだ」
父は娘達の言葉に頷いた。
「忙しい時があってもな」
「それでもなのね」
「独裁者みたいなのは駄目だ」
「碌に寝られないのは」
「そうだ、まして独裁者は寝てもな」
「今お話した通りによね」
「ああ、まともに寝ることはな」
それはというのだ、父は理虹に言うのだった。
「忙しさ抜きにしてもな」
「無理な人生ね」
「だからな」
「そんな人生よりも」
「寝られる人生の方がな」
まさにというのだ。
「いいんだ」
「そういうことね」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「寝られるならそれだけでな」
「幸せな人生ね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そう言っていいぞ」
「そうなのね」
「ううん、色々悩みあったら寝られないわね」
妹もそれはと答えた。
「確かに」
「そうよね、疲れ切ってね」
「それで悩みがないとね」
「あっさり寝られるけれど」
それでもというのだ。
「あるとね」
「そうはいかないわね」
「お勉強とかスポーツうんとして」
「疲れてね」
「それでベッドに入ったら」
悩みがなくというのだ。
「あっさり寝られるならね」
「それでいいわね」
「幸せね」
「それだけでね、私達昨日よく寝られたし」
それこそベッドに入って起きるともう朝だった、これこそよく寝られるという何よりの証であるというのだ。
「それじゃあね」
「幸せってことね」
「それだけでね」
朝食を食べながらこんな話をした、そしてだった。
理虹は学校に行ってクラスメイト達にこのことを話すと彼女達もそれはという顔になって口々に言った。
「まあ寝られたらね」
「それに越したことないわよね」
「ぐっすり寝られたら」
「それでね」
「そうよね、長い時間ぐっすり寝られたら」
理虹はそのクラスメイト達にそれならと答えた。
「もうね」
「ベストよね」
「本当にそれだけで幸せよ」
「疲れも取れるしね」
「悪いことはないわ」
「そうよね、やっぱり寝られたら」
それならというのだった。
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