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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
最高評議員たちと茶を飲み交わす
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ましょう。何がお望みですか」

 

「駐留軍は削減ではなくあくまで人数の縮小、それと並列した宇宙港の再整備、へ変更していただこう」

 

「中間星域にもですか?」

 

「もちろんだ。言っておくが流通の活性化でリスクが増大するのはむしろ中間星域だよ、海賊の主流は帝国軍や貴族の私兵だが、【古き良き時代】はそれだけではなかった。そこはわかってほしい」

 カーティスの言いたいことはわかる。暗に退役軍人の裏社会への流入を暗示しているのだ。だがしかし‥‥

 

「理解はしますがいささか足踏みをし過ぎではありませんか」

 減税や補助金で不景気は賄えるでしょう?とロムスキーが問いかけるがカーティスは首を横に振った。

「安心の提供が問題だよ。私が求めるのはリスクではなくリスクへの恐れへの対策だ。それに過剰な人口変動とて社会俯瞰に不況を引き起こすだろう?」

 

「ふぅむ‥‥‥」

 さてどうしたものか、とロムスキーが考えこもうとすると、リヴォフはにたりと笑った。

「ならそうですな、第2艦隊を復活させましょうや」

 

「おいおい、私はそんなことは望んでいないがねえ?」とカーティスは冬至祭のプレゼント箱を前にした子供のような眼でリヴォフを見る。

「第2艦隊の位置づけをですね、予備役と新兵の訓練部隊として正規艦隊の即応予備扱いにしましょう。そして首都周辺に展開させ、訓練させる。常に人員の出入りが進み、予備役を確保できる。その代わり第1艦隊の治安維持任務を拡大させる」

 

 ほう?とカーティスは眉を動かした。一種の詐術だ。軍の定員を減らすがこれまでの駐留艦隊の一部を正規艦隊に合算させるということである。

 

「強硬派をなだめることもできる。それに将校のポストもある程度維持できましょう」

 リヴォフの提案をカーティスは率直に肯定的な態度を示す。

「悪くはない。シトレに話を通しておこう。トリューニヒトとは君たち自身が話すべきだろうね」

 

「軍は傷ついている、落としどころ探しなら俺が何とかするさ」

 艦隊兵站の専門家、リヴォフ退役少将がにたりと笑った。

 

「よろしい、我らがチェアマンはまだ検討中だろう世論の潮目がどう動くかだろうな」

 一瞬、会話が途切れた。ロムスキー代表は茶を口に含み、エル・ファシル共和国に残した息子たちのことを思い浮かべる。彼らは無論、歓迎するだろう。だがバーラトの者たちは?

互いが互いのことを理解しきれない、常識すら異なる。とりわけイゼルローン要塞が作られてからの四半世紀でそうなってしまった。

 

「主要政党の予備選挙はいかがです?」

 最高議長の候補を同盟市民達が選ぶ下準
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