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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
最高評議員たちと茶を飲み交わす
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宇宙歴796年5月17日12:45(ハイネセン標準時間)ハイネセンポリス シュワルツ記念同盟弁務官会館255室

 

「君それは話が大きすぎるのではないかね?中期戦災復興計画に軍の整備計画だって?君達は政権の動きを縛るつもりかね?これから最高議長選なのに?」

 リヴォフとロムスキーは国務委員長を訪問するためシュワルツ記念同盟弁務官会館を訪れていた。ここは同盟議会議事堂と地下でつながっており、構成邦代弁者達の情報収集の場である。余談ではあるがシュワルツ同盟弁務官は構成邦自治権の守護者として知られており、【コルネリアス大親征】時の集権化改革に反対し、その半数を時限立法へと妥協を強いつつ、侵攻を受けた各構成邦の避難支援や亡命政府樹立へ奔走したことで知られている。

 カーティスは自身に割り振られた執務室で悠然と紅茶を口に含んでいる。執務室といっても実際は間借りした事務所といった方が正確だ。議員用のオフィスにミーティングルーム、秘書と事務員の執務室が設けられちょっとした役所の部署のようになっている。(そもそも同盟弁務官は出身構成邦から出向した官僚が付くことが多く、実質的な構成邦の首都事務所のような役割も担うこともある)

 

「故にこそ、政権とその下院与党と連携をしたいと申し上げている」

 老ロムスキーは笑みを浮かべたまま踏み込むがカーティスはひらりとかわす。

「我らが最高議長次第だな」

 常の風見鶏の如き態度のままである。まさしく同盟弁務官のステレオタイプともいえる姿だが、国務委員長まで上り詰めた老人であることを忘れてはならない。

「あの方の支持基盤は賛成するのでは」

 サンフォード最高議長はシロン星系出身だ。あの国は農業、特に商品作物の開発に強い伝統的な保守王国だ。トリューニヒトとも違う構成邦の権限を重視する保守的な連邦主義者だ。

 

「大きな話が外から持ち込まれた場合、大衆は明確な手土産がないと固まらないものだ。君たちは外様だよ」

 我ら田舎モンってのはそういうものだろう?とカーティスはくすくす笑う。ここにはバーラト首都圏の出身者は一人もいない。

「あなたの話でもあるんじゃあないかね?カーティス国務委員長閣下は中間星域のドンであらせられるからな」

 リヴォフの追求に対し政権のナンバー2は笑みを浮かべたまま手を挙げる。

 

「さあていかにも、いかにも、私も同盟上院議員・同盟弁務官だよ?同輩諸君」

 アンタはその首席でしょうが、とリヴォフは唸る。国務委員長は最高評議会副議長であり、同盟弁務官総会議長・・‥要するに上院議長を兼務する。

 

 ロムスキーはリヴォフを無視して弁務官総会議長をじっと見つめる。

「では同盟弁務官同士らしく、取引といき
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