第百二十話 大きく深くなっていく想いその六
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「どういうこと?」
「だから言ったままよ」
「顔赤いしね」
「目も潤んでる感じで」
「ただお巡りさんのことお話してる風じゃないわよ」
「好きな人のことお話する感じよ」
「ひょっとして」
クラスメイト達はここでふと気付いて咲に言った。
「咲っちひょっとして」
「好きな人出来たの?」
「お巡りさんに」
「そうなの?」
「あっ、それはないから」
まさに図星を衝かれてだ、咲はまずいと思って内心かなり動揺しつつその動揺も隠しながら言った。
「私も」
「本当?」
「本当にそう?」
「咲っち好きな人いないの?」
「そうなの?」
「彼氏さんとかいないから」
好きな人をこうすり替えて答えた。
「私は」
「えっ、そうなの」
「咲っち彼氏さんいないの」
「誰とも交際してないの」
「そんな人がいたら」
それこそというのだ。
「私だってもっとね」
「もっと?」
「もっとっていうと」
「あっ、何でもないから」
自分で何を言っているのかわからなかったしもっとから先は思いつかなくて言った。
「別に」
「ううん、チグハグね」
「どうもね」
「今の咲っちって」
「おかしくない?」
「やっぱりね」
「彼氏さんいないっていうけれど」
クラスメイト達はその先を見てまた話した。
「そうでもね」
「妙よね」
「不自然よね」
「今の咲っちって」
「そう?」
表面を取り繕いつつ言葉を返した。
「私は別にね」
「いや、そう言ってもね」
「どう見ても変よ」
「咲っちはね」
「今の咲っちは」
「そうかしら」
何とかとぼけようとした、今度はそうした。
「別にね」
「何でもない?」
「普通?」
「そうなの」
「普通よ」
内心かなり焦りつつ答えた。
「私はね」
「そうかしら」
「何かおかしいわね」
「お顔赤いし」
「変に汗かいてるし」
「暑いからよ」
今度はこう言い繕った。
「それは」
「ううん、妙ね」
「まあ咲っちだから二次元かしらね」
「二次元のお巡りさんとかね」
「そうした人が好きかしら」
「ああ、二次元のお巡りさんなら」
話がそっちにいったと見てだった、咲はそちらに何とか話を持って行ってそれで誤魔化そうと考えてこう言ったのだった。
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