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イベリス
第百二十話 大きく深くなっていく想いその三

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「やはりいい経験の方がです」
「いいですか」
「はい」
 そうだとだ、咲に話した。
「痛い経験、辛い経験も経験であり」
「成長の糧になるんですね」
「そうなりますが」
 それでもというのだ。
「しかしです」
「経験するならですか」
「いい経験の方がいいですね」
「気持ち的に」
「ましてトラウマになる様な経験は」
「しない方がいいですか」
「そこから多くのことが学べても」
 それでもというのだ。
「鞭よりも飴の方がいいものです」
「人は」
「ひいてはどんな生きものも」
「だから飴であるならですね」
「飴であった方がいいのです」
「そういうことですね」
「ですから」
 速水はさらに話した。
「小山さんも恋愛は」
「そうした経験になる様にですね」
「されて下さい」
「そうします」
 強い声でだ、咲は答えた。
「店長さんがそこまで言われるなら」
「そうされて下さい」
「はい、ただ」
 それでもとだ、咲は言うのだった。
「いい思い出、素敵な思い出にするのも難しいですね」
「とても」
 速水も否定しなかった。
「それはやはり」
「そうですよね」
「ちょっと間違えますと」
「トラウマになりますね」
「そしてもう二度と恋愛はしない」
「そうなる人もいますね」
「人は痛い目を見たら二度と園痛い目に遭わない様にします」
 そうするというのだ。104
「何があっても」
「自分を護る為ですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「その為にです」
「だからですね」
「避けます」
 痛い目に遭った経験をというのだ。
「それは当然のことです」
「そんな思いは二度としたくないですね」
「そうです、そう思うことはです」
 それはというのだ。
「生きものの本能です」
「そうですよね」
「ですから」 
 それでというのだ。
「恋愛についてもです」
「痛い思いをしたら」
「避けるものです」
「恋愛に恐怖心抱くんですね」
「そうです、そして」
「避ける様になりますか」
「そうなった人を見てきました」
 速水はその目、右目を悲しいものにさせて言った。
「ですから」
「今私にもお話してくれますか」
「失恋で地獄を見た人もです」
「ご覧になられたんですね」
「はい、そのうえで」
「恋愛にトラウマを持って」
「恐怖さえ抱きまして」
 恋愛自体にというのだ。
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