第百二十話 大きく深くなっていく想いその一
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第百二十話 大きく深くなっていく想い
咲は近藤の名前を知ってから彼の名前を顔を完全に一致させた、そしてその気持ちを高めていっていた。
それでだ、速水に店で何処となく言っていた。
「あの、誰が人を好きになってもいいですよね」
「恋愛にルールはないと言われています」
微笑んでだ、速水は咲に答えた。
「不倫はよくないですが」
「それでもですか」
「それ自体はです」
恋愛そのものはというのだ。
「誰が誰を好きになってもです」
「いいんですね」
「はい」
そうだというのだ。
「まことに」
「そうですか」
「若し好きな人にお相手がいないなら」
それならというのだ。
「もう何度でも。それこそこちらが潰れるまでです」
「潰れるまで、ですか」
「はい、そうなるまでです」
まさにというのだ。
「何度アタックしてもです」
「いいですか」
「そうかと」
こう言うのだった。
「私は思います」
「そうですか」
「はい、ただ」
「ただ?」
「潰れるというのは諦めるということで」
この場合はというのだ。
「自分はもうこの恋愛は叶わないとです」
「そう思うことがですか」
「私が今言った潰れるということで」
「実際にですね」
「心が壊れるまではです」
そこまではというのだ。
「せずともです」
「いいですか」
「恋愛は素敵な想いのうちに終わらせることもです」
このこともというのだ。
「一つのやり方です」
「そうですか」
「心が壊れる、折れてはです」
そうなってというのだ。
「駄目です」
「そうなったらですか」
「失恋をして辛い思いをしても」
それでもというのだ。
「心が折れる、壊れるまでに傷付くと」
「いい思い出にならないですね」
「そうです、中原中也のお話もありますね」
「あの人失恋していますね」
「それもかなり派手に」
このことは今も言われている。
「そうでした」
「そうですね」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「あそこまでいきますとトラウマになるので」
「だからですね」
「くれぐれもです」
「素敵な思い出になる位で、ですね」
「失恋をしましても」
それでもというのだ。
「そうなる位で、です」
「止めておくべきですか」
「トラウマにはならないことです」
速水はまた言った。
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