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博士の挑戦状
第八十三話

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                第八十三話  イラストは見ても
 博士はライトノベルをすさまじい勢いで読んでいっている、それこそページをぱらぱらとめくっていく様だ。
 その博士の様子を見てだ、小田切君は言った。
「読むの速いですね」
「うむ、どんな言語の本もな」
 小田切君に応えて言った。
「この速さでじゃ」
「読めますか」
「そうじゃ、ただな」
「ただ?」
「日本のライトノベルは挿絵のイラストもあるが」
 こちらの話もするのだった。
「中々よいのう」
「人気イラストレーターの人が描いていたりしますね」
「うむ、中々可愛くてな」
 そのイラストはというのだ。
「お色気もあるが」
「お約束ですね、ただ」
 小田切君はふと思い出して言った。
「先生そっちのことは」
「全く興味がない」
 実にあっさりと言い切った。
「そうしたことについてはな」
「そうですよね」
「これといってな」
 こう小田切君に答えた。
「ないのじゃ」
「そうですよね」
「胸やお尻や水着や下着を見てもな」
 それでもというのだ。
「わしはな」
「何も思われないですね」
「何しろ宇宙樹の管理人の一人じゃ」
「所謂神様ですね」
「神と呼ばれる中にも好色な者もおるが」 
 それでもというのだ。
「わしはな」
「違いますね」
「だからな」
 それでというのだ。
「そうしたものを見てもな」
「二次元でも実際でも」
「これといってじゃ」
 特にというのだ。
「感じぬ」
「博士はそうですね」
「だから奇麗可愛いと思うだけでな」
「それだけですね」
「それ以外には思わぬ」
 これといってというのだ、博士はこう言って読んでいくのだった。やはりぱらぱらとめくって読んでいった。


第八十三話   完


                 2023・7・28
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