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第三十八話 場所その十七

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「二人でね」
「東京の色々な店食べ歩こうか」
「そうしましょう」
「話がまとまったな、それではだ」
 神威は仲間達の話をそれぞれ聞き終えてから言った。
「俺も考えるか」
「貴方は彼女と過ごされますね」
 丁が言ってきた。
「左様ですね」
「ああ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「楽しい時間を過ごす」
「それでは」
「それとだ」
 さらに言うのだった。
「俺は小鳥の神社に入る」
「そちらにですか」
「アパートはそのままだがな」
 それでもというのだ。
「小鳥は一人に出来ない」
「それ故に」
「そうする」
 必ずというのだ。
「小鳥の為にな」
「そうされることは素晴らしいことです」
 丁は神威の考えをよしとして答えた。
「それではです」
「その通りにだな」
「動かれて下さい」
「わかった、そうさせてもらう」
「わらわはここにいますので」
「離れることはないんだな」
「離れられません」 
 これが丁の返事だった。
「わらわは」
「その力で移動出来ないか」
「それは可能です。普通に身体を動かすことは適いませんが」
 それでもというのだ。
「わらわの力を以てすれば」
「そうだな」
「ですが」
「夢見の仕事があるからか」
「左様です」
 その通りだという返事だった。
「ですから」
「やはりそうか」
「仕方のないことです」
 いつもの目を閉じやや俯いた悲し気な表情での言葉だった。
「このことは」
「そうか。だがな」
「だがとは」
「若しよかったらな」
 こう前置きして丁に言うのだった。
「少しだけでもな」
「この場を離れてですか」
「何処かに行けるならな」 
 その時はとだ、神威は優しい顔になって話した。
「言ってくれ」
「そうしたらですか」
「案内させてもらう」
 こう言うのだった。
「俺もな」
「左様ですか」
「だからな」
 それでというのだ。
「若しだ」
「よければですか」
「言ってくれ」
 また丁に言った。
「その時は俺と小鳥でな」
「案内してくれますか」
「東京のあちこちをな」
「わらわが歩いて巡るのですね」
「見聞きしてな」
「わらわの力で」
「ああ、俺達が一緒だ」 
 自分と小鳥がというのだ。
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