第九十八話 何でも読めることその八
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「やっぱりな」
「人は死ぬのね」
「どんな命あるものもな」
「終わりがあるのね」
「仙人さんでもな」
俗に不老不死と言われる存在でもというのだ、中国においてはこの仙人になって不老不死を得る徒いう考えが長くあった。
「絶対にな」
「死ぬのね」
「ただ寿命が長いだけで」
人間と比べてだ。
「それでもな」
「やっぱり死んで」
「終わるからな」
だからだというのだ。
「本当にな」
「不老不死って言われても」
「死ぬみたいだな」
「じゃあ悪魔博士も」
「悪魔教授って言う人もいるな」
「あの人も何時かは」
絶対にとだ、留奈は言った。
「この世を去るのね」
「お亡くなりになってな」
「そうなるのね」
「八条家の執事さんで畑中さんって人がいて」
兄は今度はこの人の話もした。
「九十過ぎてて剣道滅茶苦茶強いらしいな」
「そんな人もおられるの」
「この人だってな」
「何時かはなのね」
「お亡くなりになるんだよ」
「そうなのね」
「だからな」
それでというのだ。
「人間だってどんな生きものだってな」
「終わりがあるのね」
「それで作品を終わらせないのは」
このことはというと。
「そのことから考えてもな」
「駄目よね」
「ああ、まして続き描けなくなってな」
「放り出すのは」
「最悪だろ」
「飽きたとかもあるわね」
「もうはじめたらな」
それならというのだ。
「本当にだよ」
「終わらせないと駄目よね」
「そうだよ、そのことその作者さんもな」
また留奈が持っている単行本を見た、特にそこにある作者の名前を見てそのうえで強い声で言うのだった。
「わかって欲しいわ」
「わかってないわよね」
「絶対にな」
「何かあれよね」
留奈は読みつつ兄に返した。
「前の前の作品で編集部と揉めたのよね」
「相当精神的に追い詰められたみたいだな」
「描こうと机に向かったら吐き気したとか」
「それ相当やばいな」
「そこまで追い詰められていて」
それでというのだ。
「そこからね」
「描くのに色々問題出たみたいだな」
「そうよね」
「その人最初の作品は違ったんだよ」
兄はきっぱりとした口調で言った。
「本当にな」
「最初?」
「ああ、ラブコメでな」
そのジャンルの作品でというのだ。
「絵はその頃から上手かったけれどな」
「それでもだったの」
「今一つ人気が出なくてな」
その作品はというのだ。
「長く続かなかったんだよ」
「そうだったの」
「それが次の作品で一気に人気が出て」
そうなってというのだ。
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