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我が剣は愛する者の為に
刺激を求める
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笑みを浮かべる。

「そうか、私は負けたのか。
 中々刺激のある戦いだったよ。」

「名前は何だ?」

「司馬懿よ。
 私も貴方の名前を知りたいわ。」

「関忠だ。」

司馬懿と言えば、三国志で魏の曹操に仕えていた将の名前だ。
諸葛孔明に及ぶとも言われる知能の持ち主と言われていたはず。
彼女が司馬懿なのなら、あれほどトリッキーな戦法をしてきた事に納得ができた。
一刀の彼女の名前を聞いて驚きを隠せないようだ。

「それで私は街にでも突き出されるのかしら?」

「その前に一つ聞きたい。
 どうして行商人や旅人を狙ったんだ?」

森の中で一刀と話していた事が気になったので聞いてみる。

「何だそんな事。
 私はただ刺激が欲しかった。」

「刺激だと?」

「そうよ。
 名家の生まれの私は毎日が退屈で仕方がなかった。
 そんな私が一番刺激的に感じたのは、戦いだったのよ。
 自分の策を考え、それを戦法にして戦い敵を追い詰める。
 最高に刺激的で面白いわ。
 行商人を襲ったのも、雇っている護衛を相手にしたかっただけ。
 旅人も腕が良さそうな奴にしか手を出していない。」

嘘を言っているように見えなかった。
司馬懿はただ退屈していたんだ。
名家の生まれで決まったレールの上で生きていく事が。
だから、戦いに身を置いたのだろう。
戦いは不平等だ。
たった一つの誤算で命を失う事もある。
そこに快感を覚えたのだろう。

「司馬懿、一つ提案がある。」

だからこそ、俺は思った事を口にした。

「俺達と一緒に来ないか?」

その言葉に誰もが驚いたと思う。
もちろん司馬懿もだ。

「正気ですか、縁殿!?」

「星の言うとおりよ!
 あんたは馬鹿か!」

「流石に私も同意できないわね。
 理由をはっきりしてもらわないと。」

星や優華や月火は猛反対している。
確かに傍にいるだけで厄介事を起こしそうな奴と一緒に居たくはない。
ましてや刺激が欲しいからと言って、取り返しのつかない事をするかもしれない。

「一つは彼女の知力の高さだ。
 司馬懿が居れば色々と役に立つ。
 もう一つ、これが一番大きい理由だが。」

言葉を区切って俺は言う。

「彼女は戦いの中でしか刺激を、要は生きている実感をえれないと言った。
 それって悲しくないか?
 俺は悲しいと思う。
 生きれば戦いなんかよりもっと良いことがあると思うから。
 だから、俺は彼女を手元に置いてそれを教えてあげたいと思った。」

司馬懿の話を聞いて率直に思った事を述べた。
彼女は人生に退屈を覚えたから、戦いに身を置いた。
なら、戦い以外にももっと楽しい事を知ってほしいと思った。
それを
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