暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第173話:守護騎士の怒り
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思っていなかったプレラーティは思わず目を見開く。その瞬間、彼女の鉄球は白旗を上げ真っ二つに切り裂かれた。切歌と調の攻撃はそれだけでは収まらず、鉄球を切り裂いた衝撃でプレラーティを海へと叩き落した。

「うわぁぁぁぁっ!?」

 海へ落ちると同時に、大きな光の柱を伸ばし爆音を響かせる。その光景にカリオストロはこれ以上は自分達の方が不利と悟り、プレラーティを回収して後退する事を選んだ。

「ここまでにしてあげるわ!」
「あ、待って……!」

 逃げていくカリオストロに手を伸ばす響だったが、彼女の言葉は聞き入れてもらえず彼女はそのまま海に落ちたプレラーティを連れて去っていってしまった。

 襲撃を退けられた事に、本部では慎次が安堵し拳を握った。

「やりましたね!」
「あぁ……今日のところはな」

 喜ぶ慎次だったが、弦十郎は今回は色々と幸運が重なった部分に助けられたと言う印象が強かった。最後の切歌と調の戦いこそ彼女達自身の力だが、それ以前の透とクリスの窮地は一歩間違えば2人の命が失われてもおかしくない状況であった。そう考えると楽観は出来ない。

 これは一刻も早くシンフォギアの強化、そして並びに装者自身のレベルアップも必要だと弦十郎は1人考える。その為に何が出来るか?

――ギアは了子君達に任せるとして。装者達の方は……――

「ッ!?!?」
「ん? 奏?」
「どうかしたの?」
「あ、いや……何か寒気がした気がして……」

 弦十郎が1人今後の事を考えている時、海中の潜水艇で奏が身を震わせるのだが彼女自身その理由に気付く事は無かった。




***




 プレラーティが敗北し、カリオストロ共々逃げ帰った事等知る由も無いアダムは、プールの水面に浮かんだティキが投影する星図の下でデッキチェアに深く腰掛け、ドリンクを片手に背後に控えたサンジェルマンに機嫌良さそうに確認を取る。

「順調にいっているようだね。祭壇設置の儀式は」
「はい。ですが、中枢制御の大祭壇設置に必要な生体エネルギーが不足しています」

 肝心なところで結果を出し切れていない事に、サンジェルマンは頭が痛くなる思いだった。長い時間を掛けて生体エネルギーをかき集めてきたと言うのに、この上まだ足りないと言うのだ。彼女らは確かに理想の為にその手を血で汚してきたが、しかし目的の為とは言え無差別極まりない虐殺が出来るかと言われればそれは話が別だった。贄とするのは、彼女らがそれが妥当と判断した場合に限る。例えば根っからの悪人とか、彼女達に敵対する者達であるとか。

 流石のサンジェルマンも、ただ普通に暮らしているだけの民衆を問答無用で虐殺するような真似はしない。そこまでやってしまえばそれは最早ヒトデナシ以外の何者でもなくな
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