暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第172話:愚者は悪名に非ず
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いと思える反面、不安もあった。先にも述べた通りS.O.N.G.の中には明らかに組み合わせによってその脅威度が跳ね上がる存在が居る。颯人と奏もそうだし、先の戦いでは切歌と調も良い動きを見せていた。恐らく他にも組み合わせ次第でその能力を倍以上に発揮する者が居るに違いない。

 同時にサンジェルマンは、2人に颯人に対しては手心を加える事を頼むべきかと悩んだ。最早彼女にとって颯人は決して無視できない存在となりつつある。その彼の処遇を彼に対して何の価値も感情も見出していない2人に託すのは、最悪の結果を考えると不安を覚えずにはいられなかった。
 だがかと言って、長年連れ添ってきた2人を蔑ろにするような事を言える訳もなく、サンジェルマンはどうすべきかと言葉を詰まらせずにはいられない。

 そんな彼女のジレンマに感付いたのか、カリオストロが小さく肩を竦めながら呟いた。

「安心しなさい。サンジェルマンのお気にの坊やは、適当に加減しておいてあげるから」
「! カリオストロ?」
「だ・か・ら、サンジェルマンは安心して体を休めて、祭壇の設置に集中して」
「……ありがとう」

 サンジェルマンからの心からの感謝。それはカリオストロにとって何よりの勲章であり、そしてそれを独占した彼女はプレラーティからの嫉妬の対象になった。

「良い気になるなカリオストロ。逆上せた頭で戦って、足元を掬われない様に気を付けるワケダ」
「背中に気を付けろ、の間違いじゃなくて?」
「うるさい! さっさと行くぞ!」

 騒がしくしながらもその場を去っていく2人に、サンジェルマンは束の間肩にかかる重責も忘れて心からの笑みを浮かべていた。




***




 所変わってS.O.N.G.本部の了子の研究室には、装者と魔法使いを始め弦十郎に慎次、オペレーターの2人までもが集まり了子の操作する端末を見つめていた。

「これを見て頂戴」
「何これ? 何かの原石?」

 了子が操作する端末の画面には、マリアが言う様に何かの原石の様な岩石状の物質の中から結晶の様な物がはみ出ている物が表示されていた。誰もが首を傾げる中、了子の隣の端末を操作しているエルフナインがキーボードを叩きその物質に関する情報を読み上げていく。

「以前、ガングニールと融合し、いわば生体核融合炉と化していた響さんより錬成されたガーベッジです」
「あーッ! あの時の瘡蓋(かさぶた)ぁ?」

 以前のフロンティア事変の折、融合症例だった響はその身を侵食するガングニールの破片により危うく命を落とすところだった。その症状が進む過程で、響の胸元にある傷口から発生したのがこの小さな欠片である。
 当初は了子の手で響の身に起きる侵蝕を押さえる手掛かりにならないかと徹底的に調査されたが、
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