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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第172話:愚者は悪名に非ず
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過った。
『救済の形は1つじゃない筈だ。俺は千に一つ、万に一つの可能性だとしても犠牲が一番少ない方法を選ぶ』
『何故犠牲にする以外の方法を選ばない? 世界を変える手段は1つではない。真に世界の行く末を憂いているのなら、例え茨の道であっても犠牲を払わない方法を見つけるべきじゃないのか? 俺なら少なくともそうする』
前者は先日交わした颯人との、そして後者はそれよりもずっと前にある人物との会話である。別の時間、別の場所で交わされた会話であるにも関わらず、2人共揃って同じ事を口にしている。その事にサンジェルマンは、場違いだと思いながらも笑みを抑える事が出来なかった。
――やはり……似ている――
束の間懐かしい気持ちになりながら過去に思いを馳せていると、そんな彼女を何時の間にかアダムが睨む様に見ていた。先程とは違う、射殺すような視線。
普段は絶対に向けられる事のないその視線に、気付いたサンジェルマンは思わずヒュッと息を呑んだ。
「…………」
何時もロクデナシとカリオストロ達が蔑むアダムが見せる信じられない眼光。こちらを射殺すのではという程の視線に、サンジェルマンは自分でも気づかない内に冷や汗を流し生唾を飲み込んでいた。
暫し無言でサンジェルマンの事を睨んでいたアダムだったが、彼はそれ以上何を言うでもなくティキを肩に乗せてその場を後にした。残されたのはサンジェルマンを始めとした幹部3人のみ。
去っていくアダムの後ろ姿に、カリオストロは早速影口を叩いた。
「嫌な奴。あんなのが結社を統べる局長ってんだから、やりきれないね」
「そうだね。だけど、私達がついていくのは、あいつでも結社でもないワケダ」
「……2人共……」
言外にカリオストロとプレラーティは組織の為ではなくサンジェルマン1人の為に力を尽くすと言った。その2人からの信頼に、サンジェルマンは頼もしさと同時に申し訳なさを感じずにはいられなかった。
「ごめんなさい。今回は2人にも迷惑を掛けたわ」
「気にする事無いワケダ。あの小僧に先を越された事は業腹だが、最大の原因はレンの愚か者にあるワケダ」
「そう言う事。そんな事よりも、これ以上アダムにデカい顔させない為にも、本気出さなくちゃね?」
つまりは、本気でシンフォギアと魔法使いの排除に動くと言う事。だがそれは決して容易ではない事はこれまでの戦いで証明されている。サンジェルマンが把握する限りにおいて、少なくとも颯人と奏のペアは驚異的だ。
「出来れば私も行きたいけれど、私は祭壇設置の儀式に取り掛からなければならないわ」
「元よりサンジェルマンはまだ不調なワケダ。無理をする必要は無い。シンフォギアの破壊、それと魔法使いの始末はこちらに任せて欲しいワケダ」
それは頼もし
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