暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第172話:愚者は悪名に非ず
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 レギオンファントムにアンダーワールドに入りこまれ、危うく精神世界を壊され昏睡状態になるかと思われていたサンジェルマン。しかし彼女は颯人と奏により一命を取り留め、カリオストロ達に回収されて拠点としているホテルへと帰還していた。

 そこで彼女を待っていたのは、普段は人を食ったような笑みを浮かべて飄々としているアダムから向けられる、珍しい程にハッキリとした蔑みの視線だった。

「失態だね、今回は。確かに言った筈だよ……僕は、シンフォギアの破壊と魔法使いの排除をね」

 アダムの言いたい事は分かる。彼らの計画の妨げとなる敵勢力の戦力を削ぐ為の作戦であった筈なのに、無意味に終わるどころか逆に敵に助けられたのだから。言い訳の使用も無い程の失態である。

「申し訳ありません。レンの介入を許してしまったもので……」
「フンッ! 前は良い所で邪魔したくせに」
「自分だって魔法使いを始末できなかった事を棚に上げて、いけ好かないワケダ」

 アダムからの苦言に素直に謝罪したのはサンジェルマンだけで、残りの2人はそれに反発した。普段何もかもを自分達に押し付けている彼が、失敗に対してはここぞとばかりに突いてくるのが面白くないのだろう。しかもそれを、湯船に浸かった状態で酒を呷りながら言われては苛立つのも致し方ない。

 そんな2人のボヤキに対して、アダム一筋のティキが反応した。

「聞こえてるわよ、三級錬金術師共ッ! アダムの悪口なんて許さないんだからッ!」

 言うまでも無いがこの場に居るのは全員が一級品の実力を持った錬金術師達。そうでなければ組織の幹部など務まらない。が、アダム以外眼中にないティキからすれば、サンジェルマン達も吐いて捨てる三級錬金術師でしかなかったのだ。

 しかし同じく2人のボヤキが聞こえていた筈のアダムは特に気分を悪くした様子はなかった。

「アスペクトはついに示された。ティキが描いたホロスコープにね」
「ならば、祭壇設置の儀式を」

 先程から芳しくない結果ばかりが目についたが、そんな中で満足いく結果を得られたティキをアダムは労う様に抱き上げ持ち上げた。淡々と言葉を口にするサンジェルマンを無視して、高々と掲げられたティキは子供のようにはしゃぐ。

「えへへへへッ!」
「この手で掴もうかッ! 神の力をッ!」
「いや〜ん、ティキ、飛んでっちゃうッ!」

 戯れるアダムとティキを他所に、サンジェルマンは思い詰めたような目で1人意気込みを新たにした。

「完全世界実現の為に」

 組織の目標にしてサンジェルマンが求める理想。それを実現する為には最早止まれないとサンジェルマンは自身に言い聞かせる。

 だがその度に、彼女の脳裏には颯人との対話と、それ以前に交わした《《ある男》》との対話が脳裏を
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