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神々の塔
第三十八話 江戸桜その十

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 その剣技に苦戦した、だが芥川は言った。
「確かに強いわ」
「そやね、ほんまに」
「しかし僕等も意地がある」
 綾乃に話した。
「負ける訳にはいかへん」
「そやね」
「そやからな」
 それでというのだ。
「ここはな」
「皆で力を合わせて戦おうな」
「そや、助六さんを囲んで」
 そうしてというのだ。
「その剣技を中里が凌ぐ」
「僕がやな」
「それで残りの九人でや」
 それでというのだ。
「戦うで」
「ほなな」
 中里も頷く、そしてだった。
 芥川の言う様に戦った、そのうえで勝つと助六にも言われた。
「よくやった、それじゃあな」
「上にですね」
「行けばいいさ」
 綾乃に笑って話した。
「お前さん達はな」
「ほなそうさせてもらいます」
「ああ、まだまだ先は長いからな」
「めげんことですね」
「そう思うんじゃないぜ」
 こうも言うのだった。
「絶対にだ」
「この塔を踏破する」
「そう思うことだ」
「大事なのは」
「ああ、応援してるぜ」
 明るい笑顔での言葉だった。
「本当にな」
「そうですか、ほな」
「頑張れよ」
 助六の言葉は最後まで明るかった、そしてだった。
 一行は宿屋で一泊してから上に進んでいった、そうしてまた塔を進んでいくがその時に綾乃はこんなことを言った。
「正直遊郭は好きやないわ」
「それはな」
 シェリルが応えた。
「女の子やとな」
「ああした場所は抵抗あるね」
「どうしてもな」
「そやね」
「花魁さんは寿命短かったしな」
「そうらしいね」
「鉛とお酒とな」
 それにというのだ。
「結核やそうした病気でな」
「そうした病気が一番怖かったし」
「そや、それでや」
 その為にというのだ。
「ほんまな」
「寿命めっちゃ短かったね」
「あそこに入って長生きは」
 遊郭にというのだ。
「まずな」
「なかったことやね」
「そやったみたいやな」
「そういうこともあって」
 それでというのだ。
「うちは好きやないわ」
「そうなんやな」
「けれど必要なものと」
「考えてるな」
「ほんま人には欲があるから」
 だからだというのだ。
「そうしたお店も必要やね」
「ええか悪いか別にしてな」
「ほんまそやね」
「そうしたこともわかってな」
 そうしてというのだ。
「これからもやってこな」
「政も」
 綾乃は確かな声で応えた、そしてだった。
 一行はまた一階上がった、何万階もあるうちの一階であるが彼等はそれによって踏破にさらに近付いたのだった。


第三十八話   完


                    2023・8・15
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