第三十八話 江戸桜その八
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「あの十一人にな」
「任せるんやね」
「そうするわ、並の悪の組織なら」
それならというのだ。
「あの連中でな」
「充分やね」
「伊達にアウトローの世界でも暴れ回ったそれぞれ幾つも前科がある連中やないわ」
彼等はとだ、芥川は真剣な顔と声で綾乃に話した。
「レベルも特技も高いし」
「ステータスもええし」
「不死身と言われるだけの実力があるわ」
「そやから部隊を編制してことにあたってもらってるね」
「巨人軍相手にな」
十星連合全体の裏で暗躍する彼等にというのだ。
「そやから世界を脅かす様な」
「そんなレベルやないと」
「大丈夫や、悪には悪でな」
「やっていってもらうんやね」
「あっちはな」
「ほな巨人軍はあの人達に任せて」
綾乃は芥川の話を受けて微笑んで述べた。
「そのうえでうち等は」
「ああ、やるべきことをな」
「やってくね」
「さしあたってはこの塔をや」
「踏破やね」
「そうしていこな」
遊郭を模した迷宮の中を進みつつこんな話もした、そして神霊達が座す階に着くと高下駄に蛇の目傘、黒い着流しにそこからちらりと見える赤褌、江戸紫の鉢巻きに白塗りの実に恰好いい男が言ってきた。
「来たな、待ってたぜ」
「助六さんですね」
「見てわかるだろ」
その男助六は綾乃に笑って応えた。
「この恰好でな」
「はい、言われてみますと」
「こんな粋な格好してる奴が他にいるか」
助六は笑ってこうも言った。
「そうだろ」
「言われてみますと」
「吉原で俺の名前を知らねえ奴はいねえ」
「まさに江戸一のイケメンですね」
「お前さん達の起きた世界で言うとな」
「今の言葉ですと」
「二枚目とか男前とかな」
助六は自分から言った。
「そうした言葉がだよな」
「助六さんには付きものですね」
「その自負はあるさ、それじゃあな」
「今からですね」
「俺達と戦ってもらうぜ」
助六は今度は傘を開き見栄を切ってきた、そのうえでの言葉だった。
「いいな」
「わかりました、ほな」
「はじめるぜ」
助六のこの言葉と共にだった。
一行は助六の登場人物達との戦に入った、即座にくわんぺら門兵衛や朝顔千兵衛といった面々が出てだった。
髭の意休とも戦うがその威圧感にだった。
アレンカールは額の汗を左手の甲で拭ってからだ、こんなことを言った。
「凄いわね」
「威圧感がな」
中里が応えた。
「半端やないわ」
「そうよね」
「この人一見吉原の嫌われモンやが」
中里は歌舞伎での意休のことを話した。
「実は鎌倉幕府転覆を計るな」
「超大物よね」
「そうなんや」
「そうやからこそね」
「かなりのな」
そう言っていいまでのというのだ。
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