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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十ニ話 戦いの後
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張っていたのだろう。
泥縄的に始まった今作戦も終わりに近付いている。クロプシュトック領征伐というイレギュラーは有ったものの、無事生還出来る事は喜ばしい事だ。我々がシャンタウに移動したのを知って通信してきたのだろう、キルヒアイスがFTLで通信を送ってきた。それによると軍内部で遠征軍を非難する声があがっているという。戦意不足、戦果不足、というのだ。戦闘概要は既に宇宙艦隊司令部に送られているが、作戦の総括が終わっていないのにそういう非難が出る、というのは言いがかりに近い。このままでは先入観と憶測に基づいた風聞が流布している只中のオーディンに帰還する事になる…とキルヒアイスは言っている。
 そして現在、その総括の真っ最中だった。報告書にして宇宙艦隊司令部に提出するのだが、これがまた面倒だった。まずは艦隊内の分艦隊以上の指揮官が集まって話し合う。作戦中の行動の再確認、艦隊司令部の意志決定の流れ、艦隊司令部から分艦隊司令部への命令伝達、その実行の不備不具合の有無等、項目は多岐に渡るがそれらを話し合いの中で再確認し、良好な点、問題点を抽出して報告書にする。そしてこの作業は同じ作戦に出撃した艦隊の数が増えれば増える程複雑になっていく。戦闘の流れは戦闘概要で分かるものの、現場で実際に何が起きたか、については総括報告が無いと分からないからだ。今作戦においては参加した各艦隊の総括報告は上級司令部たる遠征軍司令部に吸い上げられ、そこから遠征軍総括報告書として宇宙艦隊司令部に報告される事になっていた。だが…。
「そんな事より、例の件は…姉上は無事なのか?」

”アンネローゼ様はご無事です“

俺にとっては総括なんかよりこっちの件が本題だった。
「そうか、よかった…それで首謀者は判明したのか?」

“形の上ではベーネミュンデ伯爵夫人となります、ただし…
例の書簡の額面通り害意となると、いささか判断が難しいと言わざるを得ません“

「判断が難しい?ではあの手紙は何なのだ、害意ありとハッキリ書いてあるぞ」

“これ以上の事はFTLでは…秘匿回線ではありますが利用時間が制限されておりまして”

「…済まなかった、今回の件では本当に手数をかけてしまったな」

”いえ。アンネローゼ様は私にとっても大事な方です。何の雑作もありませんよ…ラインハルト様の方こそお身体は大丈夫ですか?私が居なくてもきちんと軍務をこなせていますか?“

「何だとこいつめ…それではお前がいないと俺が何も出来ないみたいじゃないか」

“違いますか?”

「はは、肯定も否定もしない、そういう事にしておこうか…オーディン到着は二十二日を予定している。当然、迎えに来てくれるんだろう?」

”軍務ですから仕方ありません“

「ははは…ではオーディンで」

“はい。無事の航
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