敢闘編
第七十ニ話 戦いの後
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その他の有能な士官達を推薦したのは俺だが、そう親しい訳ではなかったし任務以外ではあまり話した事はなかった。勿論二人で酒を酌み交わす事も今回が初めてだ。彼の為人を知るにはいい機会かもしれない。
宇宙暦793年7月3日14:30
ヴィーレンシュタイン宙域、自由惑星同盟、自由惑星同盟軍、
アムリッツァ駐留軍第二任務部隊、第九艦隊旗艦ヘーラクレイダイ、宇宙艦隊司令部、
ヤン・ウェンリー
クライスト艦隊、シュトックハウゼン艦隊…共に動く気配は無い。ウィンチェスターの言う通り帝国艦隊は撤退する事が目的の様だ。
「まもなく敵はフォルゲンから退いた三個艦隊が合流するが…総参謀長の言う様に本当に攻撃して来ないと思うかね?」
コーネフ提督の懸念は尤もだ。対峙している敵ですら此方より優勢なのだ、そこに三個艦隊が加われば攻撃してこないとも限らない。
「敵はボーデンに此方の三個艦隊が控えている事を知っています。我々に攻撃を仕掛ければ、今は優勢でも時間が立てば形勢が逆転するのは自明の理です。消耗戦は帝国とて避けたいでしょう」
「そうだな、私もそう思う。きつい事だが、もうしばらくはこのまま待機だな」
今となってはボーデンに三個艦隊が残留したのは正しかったのかもしれない。折衷案として我々が進出したものの、これが四個艦隊全てで進出していたら、戦うか戦わないかで揉めたに違いないと思うのだ。我々しかいないからこそ、戦闘は回避する、という方針が貫かれている。そしてフォルゲンの味方は追撃を打ち切った。作戦目的は迎撃と防衛であって、敵艦隊の殲滅ではない。追い返しさえすればよいのだ。七個艦隊…合計十一万隻近い兵力だが、都合よく敵を殲滅できたかどうか。大兵力だが、その分統制の取れた行動が難しくなる。ルーカス司令長官代理がアムリッツァに居れば話は違ったかもしれないが、権威の弱い我々では無理だ。多分ウィンチェスターでも七個艦隊の統率は無理だろう。臨時の配置とはいえ、宇宙艦隊司令部の現地スタッフはみな二十代、世間一般的にはまだ青二才と呼ばれる年代だ。経験も階級も…そしてあまりにも若すぎる…。
「大佐、少し休んではどうか。貴官を含め宇宙艦隊司令部のスタッフは、ヴィーレンシュタイン到着後はろくに休息も取っておらんだろう」
「はっ、ですが…」
「戦闘にならんのであれば、構わんと思うが。休みたまえ。若い者がいざという時動けんのでは困るからな」
「はっ。ありがとうございます」
帝国暦484年7月6日18:00
シャンタウ宙域、銀河帝国、銀河帝国軍、遠征軍、
ヒルデスハイム艦隊、旗艦ノイエンドルフ、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
結局叛乱軍は一個艦隊が出現したのみで、その一個艦隊も我々に攻撃してくる事はなかった。我々が撤退するかどうかを見
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