第百十九話 秋という季節その二
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「僕もそのお話を聞いてね」
「恋愛は怖いですか」
「あんな地獄味わう位なら」
「最初からですか」
「しない方がずっといいよ、二次元でいいよ」
こうまで言うのだった。
「女の子は」
「そうですか」
「二次元の女の子はこっぴどく振らないよね」
神戸の本校の話の様にだ。
「もっと言えば告白する様にけしかけた友達も裏切ったりとか」
「それ最初から友達じゃないですね」
「その翌日に自分達の立場が悪くなると即刻縁切りとかね」
「そうですよね」
「友達じゃないよ」
部長は今度は厳しい顔で言い切った。
「それでそんな連中信用したらね」
「駄目ですね」
「自分の都合で簡単にね」
「その告白する様にけしかけた時みたいに」
「自分達が言ったことでもね」
「その人に責任押し付けて」
「自分達は平気でだよ」
まさにそうした感覚でというのだ。
「裏切ってね」
「逃げますね」
「そうするからね」
「そんな人達はですね」
「信用したらいけないよ、それで恋愛もね」
部長はまたこちらの話をした。
「リアルはいいよ」
「二次元ですか」
「二次元でね」
そちらの世界でというのだ、部長はその二次元の女の子に対して絶対の安心感を持って話すのであった。
「充分だよ」
「そうですか」
「そんな三次元はね」
即ちリアルはというのだ。
「もうそんなことも有り得るから」
「いいですか」
「うん、それにね」
「それに?」
「やっぱり僕には縁がないから」
また笑って言った。
「本当にね」
「恋愛の秋はいいですか」
「関係ないよ」
またこうしたことを言うのだった。
「僕にはね」
「そうですか」
「だから二次元でね」
「充分ですか」
「うん、三次元は地獄もあるからね」
「ううん、私はどうも」
開いた漫画の単行本を手にしたまま言った。
「三次元がです」
「いいんだ」
「二次元もいいですが」
それでもというのだ。
「やっぱり第一はです」
「リアル、三次元なんだ」
「はい」
一言で言い切った。
「私は」
「そうなんだね、小山さんは」
「はい、そちらですね」
「痛い目に遭ってもだね」
神戸の本校の話の様にというのだ。
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