第百十九話 秋という季節その一
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第百十九話 秋という季節
咲は放課後の部室でだ、二年生の部長に言われた。今度の部長も男子である。
「いやあ、読書の秋だね」
「漫画でもですね」
「読書だからね」
今は漫画を読んでいる咲に話した。
「いいよ、ラノベでもね」
「いいんですね」
「本を読んだら」
それならというのだ。
「もうそれでね」
「読書ですね」
「うん、それでね」
部長はさらに話した。
「芸術の秋、僕達は文科系だけれどスポーツの秋」
「そちらもですね」
「それで僕には無縁だけれど」
今度はこう言ったのだった。
「恋愛の秋だね」
「恋愛ですか」
あの警官、近藤のことを思い出して言った。
「そちらの秋でもありますね」
「秋は色々とね」
「ありますね」
「だからね」
それでというのだ。
「何かとね」
「色々なことが出来ますね」
「そして楽しめるよ」
「それが秋ですか」
「そうだよ、だから小山さんもね」
咲もというのだ。
「色々な秋をね」
「楽しむことですね」
「読書も芸術もで」
「スポーツもでね」
「恋愛ですか」
「うん、まあ僕にはね」
部長はまた笑って言った。
「無縁だよ」
「恋愛は」
「そうだよ、ただ他の人は知らないよ」
「部長さんもどうですか?」
咲はあくまで自分と言う部長に話した。
「恋愛は」
「いや、本当に」
「ないですか」
「ないよ」
こう言うのだった。
「絶対にね」
「いや、絶対はですよ」
咲は部長のその言葉に漫画から目を離して答えた。
「ないですよ」
「そうかな」
「どんなことでも」
それこそというのだ。
「ないですから」
「じゃあ僕もなんだ」
「可能性はありますよ」
「生まれてからそんな話はないし」
部長は咲に笑って返した、ここでも笑っていた。
「それに本校のお話聞いたらね」
「あの振られて裏切られての」
「あんな経験するなら」
それならというのだ。
「もうね」
「恋愛はですか」
「あの人新しい彼女さんと巡り会えたけれど」
それでもというのだ。
「それまでがね」
「壮絶でしたね」
「地獄だったよね」
「この世の」
「そんな風だったから」
それでというのだ。
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