第七百十九話 国鳥その一
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国鳥
多くの鳥達を観る中で大尉は雉を観て上等兵に言った。
「日本の国鳥だ」
「雉はそうなのですね」
「そうだ、童話にも出て来るな」
「桃太郎ですか」
童話と聞いてだ、大尉も言った。
「あの童話ですね」
「そうだ、犬と猿にだな」
「雉が出ますね」
「桃太郎のお供としてな」
大尉はその童話の話をさらにした。
「あまりにもだ」
「有名ですね」
「その雉はだ」
「日本の国鳥ですか」
「そうした意味でもな」
「日本では重要な鳥ですね」
「特別と言っていいな」
大尉はつがいの彼等を観つつ話した。
「まさに知らない者はいない」
「日本人では」
「そうした鳥だ、あとだ」
ここで大尉は上等兵に顔を向けて彼に話した。
「桃太郎には不思議な話がある」
「どんなものでしょうか」
「桃太郎が教科書に出るとな」
そうなればというのだ。
「戦争になるらしい」
「そうなのですか」
「事実エウロパ戦役の時にもな」
「教科書に出たのですか」
「日本の小学校一年の国語のものにな」
「日本語のですか」
「銀河語の方にも出たそうだ」
そちらの教科書にもというのだ。
「何でもな」
「そうするとですか」
「エウロパ戦役が起こりこれまでもだ」
「桃太郎が日本の教科書に出るとですか」
「戦争になったのだ」
「おかしな話ですね」
「桃太郎は鬼を成敗する話だ」
笈ケ島に行ってだ、この話はこの時代でも日本人ならばまさに誰もが知っている話の一つである。金太郎や浦島太郎とそれは同じだがやはり知名度は第一である。
「成敗即ちな」
「戦いですね」
「それの話だからな」
「戦争になるとですか」
「敵を成敗せんと思いな」
そうしてというのだ。
「教科書に載るらしい」
「そうですか、しかし」
その話を聞いてだ、上等兵は言った。
「それを言いますと日本ひいては連合は」
「戦争がなかったな」
「エウロパ戦役までは」
「だからかなり長い間な」
大尉は上等兵のその話を受けてすぐに答えた。
「桃太郎は日本の教科書には載らなかった」
「そうでしたか」
「しかしだ」
それでもというのだった。
「エウロパ戦役前に載った、するとな」
「戦争が起こったのですね」
「そうだった、だからだ」
「桃太郎が日本の教科書に登場したならば」
「注意が必要だ」
こう上等兵に話した。
「非常にな」
「連合で戦争といえば」
「わかるな」
「確かに内輪揉めの絶えない国ですが」
「それでも内戦まではな」
「ないですから」
そのことが伺える国だからだというのだ。
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