第九十七話 食べられる幸せその十
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「続きを他の人に描いてくれる様頼んでも」
「ああ、それあるわよね」
ウクライナの娘もそれはと返した。
「漫画だけじゃなくて小説でも音楽でもね」
「作者さんが途中でお亡くなりになってね」
「親しい人が後を継いで完成させるって」
「あるでしょ」
「そうしたら」
「終わるから」
作品はというのだ。
「いいでしょ、作者さんだって」
「やっぱり終わったらね」
自分の作品がというのだ。
「冥利に尽きるでしょうし」
「それはね」
ウクライナの娘もそれはと応えた。
「作者さんの願いよね」
「自分の作品を完結させることは」
「本当にね」
実際にというのだ。
「第一の願いよね」
「その作者さんがどう思ってるか知らないけれど」
「完結させたいなら」
「他の人にお願いして」
「続きを執筆してもらって」
「完結させて欲しいわ」
こう言うのだった。
「それでね」
「作者さんは長生きして欲しいのね」
「お話聞いたらどう見たてそんな状況じゃないから」
作品を執筆出来る様なというのだ。
「むしろ生きて下さいって」
「富美子も思ってるの」
「思ってるわよ」
ウクライナの娘に真顔で答えた。
「それで健康第一って」
「思うのね」
「災害も戦争もなくて」
そしてというのだ。
「健康ならね」
「こうしたものも楽しめるし」
「幸せよ」
「それね、けれど考えてみたら」
ウクライナの娘はピンクのグミを口に入れてから言った。
「そこまで揃うのって普通かっていうと」
「戦争も災害もなくて」
「自分も健康っていうのは」
「案外貴重かも知れないわね」
「そうよね」
それはというのだ。
「何でもない様で」
「その実は」
「貴重で」
「有り難いものかもね」
富美子は深く考える顔で言葉を返した。
「考えてみたら」
「世の中色々あるしね」
「災害なんてしょっちゅうだし」
「健康だってのも難しいしね」
「癌なんてなりたくてならないでしょ」
「誰がなりたいのよ」
クラスメイト達も口々に言った。
「癌なんて」
「私達もほんのちょっとでもなる可能性あるのよね」
「若年性の癌よね」
「それで若いなら若いだけ進行速くて」
「やばいのよね」
「癌だけじゃないしね」
富美子はさらに言った。
「怖い病気は」
「糖尿病もあるわよね」
「内臓壊したりね」
「足とか手を怪我してもね」
「一生影響があったりするしね」
「そう考えたら」
それならというのだ、富美子は頭の中で自分が癌やそれこそ満足に身体が動けなくなる状況を考えて述べた。
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